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北朝鮮が危機的感染拡大 新型コロナ・餓死続出・経済難の三重苦

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提供:週刊実話

 3月21日朝、韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が朝鮮半島東側の東海(日本海)に向けて短距離弾道ミサイル(SRBM)と推定される飛翔体を2発発射したと発表した。

 北朝鮮は3月2日、9日にもSRBMを発射しており、この日の試射は12日ぶりになる。2日と9日の発射については、韓国の北朝鮮への先制攻撃を無能化するための連射実験を行っているとの見方が出ている中、21日は連射ではなかった。

「米国主導による各種制裁を緩和させるためのトランプ大統領に対するメッセージとみる専門家もいます」(日本在住の韓国人ジャーナリスト)

 それにトランプ大統領が応えたのか、3月22日、このところ金正恩党委員長のスポークスマン化している金与正党第1副部長が「トランプ米大統領から委員長宛ての親書が届き、米朝関係改善のための構想を説明、新型コロナウイルス対策での協力も申し出た」ことを明らかにした。

 関係改善の方策など詳細は不明ながら、トランプ政権は北朝鮮が新型コロナで相当なダメージを受けていることを把握していると見られる。

 北朝鮮は中国からの経済支援で生き延びてきたが、その中国から新型コロナ感染拡大の一報が伝わるやいなや陸路、空路を素早く閉鎖した。

 独裁国家ゆえに正恩氏の鶴の一声で、迅速な危機管理に乗り出せたわけだが、その一方で、中国からの物品が途絶え、食糧や医療品不足などが深刻さを増している。国際社会からの制裁下にある北朝鮮は、中国の支援がなければ国家存亡の危機を迎える。正恩氏は国民に自給自足を訴え、叱咤激励しているが、それもいつまでも続かない。すでに限界に達していることも推測されている。

「農民は農繁期にもかかわらず新型コロナの影響で仕事ができず、当然、農作業に支障が出ている。そればかりか、供給網も寸断されているため、手をこまねいているしかありません。一部農村地域では昨年分配された食糧が底をつき、飢え死にする事例が続出しているとの情報も寄せられています」(同)

 国民の間では、「新型コロナ禍が長期化した場合、それで死ぬ住民よりも飢え死にする方が多くなるだろう」といったやけくそ気味の観測まで出ている始末だ。

 北朝鮮は「新型コロナ感染症がいまだわが国に入っていない」と強弁する一方で、ロシアには検査キットを送るよう要請している。ロシア側はこれに応え、2月26日の段階で、検査キット1500セットを寄贈している。

 こうした折り、中国が武漢に大型病院を速攻で2棟も建設したことをマネたのか、正恩氏は「熾烈な徹夜戦で、200日で総合病院を造れ」と無茶を言い出した。

「労働新聞などの官営メディアが3月18日に伝えたものですが、期日を守るために軍人と国民は、完成までに相当な無理を強いられるでしょう。プライドの高い正恩氏さえ、国内の医療・保健体制が遅れていることは認めている。『社会主義先進医療』を見せつけようと、中身はともかく、プライドで平壌に大型病院の建設に踏み切ったのでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)

 北朝鮮の医療や衛生水準が世界から取り残されていることは、同国民の平均寿命を見れば一目瞭然だ。日本人は男性が81・25歳、女性が87・32歳(2018年厚労省統計)、隣国の韓国でも男性79・4歳、女性は85・9歳なのだが、北朝鮮では男性67・7歳、女性75・6歳で、平均71・6歳と短命なのだ。

「北朝鮮の平均寿命は米国の中央情報局(CIA)が国別の人口、社会関連統計を大幅に更新したことから判明したものです。北朝鮮では1990年代の大飢饉で推定200万人以上が餓死しましたが、市場経済の拡大に伴って食糧事情は改善され、飢えで苦しむ人は大幅に減った。それでも、ようやくこの数字です」(同)

 加えて、北朝鮮の医療機関の構成はいびつである。

「というのも社会的地位によって利用できる病院は区別されているからです。最高級が『烽火診療所』で、利用できるのは金一族や一部の上級幹部に限られる。その次に中堅幹部らが使う『南山病院』と『赤十字病院』などです。ロシアからの『検査キット』を使えるのは烽火診療所だけです。つまり、感染が確認できるのは金ファミリーら一部に限られるということです」(国際ジャーナリスト)

 しかも、北朝鮮では極端な医師不足にも陥っている。原因は、医師の地位が低いからだ。

「党や軍の幹部になれるのは生まれた家柄で決まります。北朝鮮では、出自の悪い者が上位者になるためには外貨が稼げる職業に就く以外にありません。その意味でいうと、医者より密輸品を運ぶトラック運転手の方がよほど収入(=地位)がいいのです。ですから、学業優秀者は医師を目指すかといえば、そうではありません」(前出・北朝鮮ウオッチャー)

 医師になると、生命の危機にもさらされることになる。実際、烽火診療所の医療関係者は命がけだという。

「所属する医療従事者は、党幹部の治療をしたがりません。なぜなら、失敗したら処刑されるからです。しかも、烽火診療所は最新の医療機器が完備されているわけではありません。過去に金ファミリーや上級幹部の多くが病気治療目的で中国やフランスに渡航していますからね」(同)

 医師不足が深刻な北朝鮮は、新型コロナ、経済難、餓死続出の三重苦によって、崩壊する日が目前に迫っている︱︱。

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