江南の東側住宅地域でおびただしい高層マンションがそびえる。韓流スターの多くが住んでいることもあり、マンションの価格も100平方メートルで1億〜2億円と東京よりむしろ高いといえる。
世界金融危機以降、韓国不動産バブルの崩壊説が囁かれているが現状崩壊はしていない。そこには韓国不動産独自のシステムがある。韓国には不動産ローンの伝統がない。最近不動産ローンが商品化されているが、まだ一般的ではない。韓国では不動産購入の場合、短期の月賦が一般的で、賃貸の場合も独特の方法がとられる。賃貸の場合借り手は高額の保証金が必要で、その保証金を積めば、家賃を払う必要がない。
江南エリアの一般的な物件で保証金は5000万円程度。借り手は住居を移動するとき保証金を丸々返してもらえる。その間の家賃はただだから、5000万円は高額にしてもメリットがある。家主はその保証金を銀行に預ければ、その金利が家賃代わりになる。高金利の韓国ならではの話だ。しかし実際は家主の多くはこの保証金を新しいマンションの購入に当てるケースが多い。
これが不動産の高値を維持している原因で、家主にとってこの保証金はいずれ返さなくてはならない負債だが、無利子の負債であることがポイントである。したがって保証金の金額の相場が下がることがあっても、金利負担がないため、投売りには結びつかない。
ソウルでは不動産バブルの崩壊は無いという意見が一般的である。
江南の中心街はおしゃれな店がならび、若い人であふれている。
夕方江南の中心江南交差点の喫煙スペースでぼんやりタバコをふかしていた。ソウルもやはり喫煙に厳しく、やたらなところでタバコをすっているとすぐに注意される。
行きかう若者たちを眺めていると、ペットボトルを持ったカップルやベンチで休むサラリーマンなど、限りなく日本と同じ風景だ。しかし同時に限りなく違うものも感じる。リラックスしている若者たちから感じるのは「厳しさ」だ。その真剣なまなざしには怖いものすら感じるぐらいだ。
そこで思いついたのが徴兵制だ。韓国ではいまでも2年間兵役の義務がある。どんな高官の子弟でも逃れることはないという。陸続きの北朝鮮とは緊張状態にあるといっても過言ではない。やはりその緊張感がこの国を包んでいる。海を隔てただけの日本も本質的には大差が無いはずだが隔たりは激しい。ノホホンとこの国に来た記者の不明を恥ずべきしかないと痛感した。