「トヨタは中国市場でGM、フォルクスワーゲンなどの後塵を拝していますが、ブランド自体は強力です。いくら敵対的買収に備えてグループ間の持ち合い関係を強化しているといっても、中国側が安値に乗じて買い増せば、微々たる保有比率で家業を相続した御曹司の豊田章男社長にとっては不気味でしょう。もし10%近い大株主に躍り出たら、それだけで大慌てです」(トヨタ・ウオッチャー)
トヨタは時価総額で日本一を独走している。従って株の買い増しによる経営介入は容易ではないが、これで豊富な資金力をバックにするOD05オムニバスがファイティングポーズを取れば事態はどう転ぶかわからない。その場合、時価総額で見劣る他社も乗っ取りリスクにさらされた揚げ句、新たな生き残り策を求めて汲々とする。当然ながら世間に与える衝撃は、既に中国企業の軍門に下ったラオックスやレナウンなどの比ではない。
「怖いのは何も株の買い増しだけではありません。今の株安は経営戦略上のミスが招いたとして総会屋顔負けの揺さぶりを仕掛けないとも限らないのです。その場合、対応を誤ると彼らの思うツボ。株安の経営責任をネチネチ責められたら地獄です。正体がハッキリしていない分、どこへどう挨拶して良いかもわからないだけに、話がこじれたらそれだけで厄介です」(投資ファンド関係者)
実は日本企業に食指を動かしている中国系ファンドはほかにもある。『チャイナ・アセットマネジメント』と呼ばれる中国政府公認の民間投資会社で、出資者は民間人。このファンドは今、ホンダ、任天堂、ピジョンなどに積極投資しており、口さがない向きはOD05オムニバスの“別働隊”と呼ぶ。前出の投資ファンド関係者が打ち明ける。
「純粋な民間のファンドといっても、そこは中国のことだから政府との“アウンの呼吸”がある。言い換えれば、官民とも金があまっているということ。現実には米国のヘッジファンドを手本にしているため、いずれ相当荒っぽい手口に打って出ることも考えられます」
赤い軍団によるステルス侵攻を防ぐ手立てはあるのだろうか。