同署は1月7日、塩谷被告をウソの投資目的で大阪府大阪市の男性会社員(29)から、現金280万円をだまし取ったとして再逮捕した。
容疑は被害男性に、「今後は発光ダイオード(LED)を車線に埋め込む工事が増える。出資すれば100万円はもうかる」などとウソをつき、昨年8月22日に、現金280万円を銀行口座に振り込ませた疑い。
同署によると、塩谷被告は同じ手口で、球界の大先輩である元近鉄バファローズ(オリックスに吸収合併)監督の佐々木恭介氏(63)もだました可能性が高まっているという。
塩谷被告は佐々木氏に、実在するイルミネーション協会の会員申込書を、LED関連の投資申込書と偽って署名させ、この書類を「元プロ(野球選手)ならではの特別な人脈がある」などと、架空の勧誘の際に悪用していた。
佐々木氏は同署の聴取に対して、塩谷被告のもうけ話に、百数十万円を出資したと話しているという。
2人は同時期に同じチームに在籍したことはないが、塩谷被告が阪神に入団した93年の前年まで、佐々木氏は阪神で打撃コーチを務めており、若手育成には高い定評があった。佐々木氏は96年〜99年まで、近鉄で監督として指揮を執るなど、関西野球界では“別格”の存在で、塩谷被告にとっては雲の上の人。その人物をだましたのであれば、塩谷被告も大した度胸だ。
なお、8日には最初の容疑の初公判が兵庫・神戸地裁尼崎支部(森田亮裁判官)で開かれた。起訴状などによると、塩谷被告は10年8月、知人の男性会社役員に、商業施設に入る飲食店テナントの売上金の一部が手に入る権利を譲渡するなどと架空の話を持ち掛け、現金計550万円をだまし取ったとしている。
塩谷被告は「知人に『この権利は選ばれた人にしか手に入らない』とは言っていない」と起訴内容の一部を否認。
検察は冒頭陳述で「プロ野球選手時代にスポンサーが払っていた飲食代を自分で払うようになり、カネに困った。だました金は生活費や飲食費に使用した」と指摘した。
(蔵元英二)