これは、佐藤コーチが1日の試合前に発していたコメント。代役とはいえ、球宴の晴れ舞台で指揮を執る意欲を語っており、本人はヤル気満々だったのだ。
「佐藤コーチの勝率が悪いといっても、9勝13敗。大敗しているわけではない」(スポーツ紙記者)
大久保代行のチーム合流後、佐藤コーチは再び“投手担当”としてその指揮下に入った。「家族や知人を球宴に招待していた」との情報もあり、その屈辱は想像に難くない。また、大久保代行だが、同日早朝に緊急招集されたとは思えない指揮官ぶりも見せている。
嶋基宏を2番に入れた新打順で臨み、中継ぎに降格していた黄金ルーキー・松井裕樹に待望の“プロ初勝利”を付けさせた。
「先発の宮川将を、勝利投手の権利獲得まで『あとひとり』と迫った4回3分の2の時点で、松井に交代させました」(同・記者)
黄金ルーキーの初勝利を最も喜んだのは、三木谷オーナーだろう。実は同オーナーの子息が、西武退団当時の大久保代行が主催する野球塾に通い、それが縁で信頼関係が芽生え、今に至るという。松井裕は大久保新体制下でその才能を発揮しつつあるが、こんな指摘も聞かれた。
「松井裕が制球難で苦しむことは、星野監督と佐藤コーチはお見通しでした。投球フォームをちょっと改造する必要があるとされ、2人は『このままではプロでやっていけない』と松井本人が自覚しなければ、投球フォームの改造は習得できないとし、3年先を見据えた育成プランを立てていました」(ベテラン記者)
しかし、大久保代行は違った。勝ち星こそが最高の良薬であり、どんな形でも勝利投手になれば自信が湧き上がると考えている。両者の松井育成論の相違は、『星野&佐藤VS三木谷&大久保』の抗争の火ダネになったのだ。
「佐藤コーチを監督代行から降ろすことを決めた7月2日、楽天首脳陣はオールスター戦のパの指揮官を自ら白紙に戻してしまったことを受け、星野監督とNPBの間を往復させられました。大久保体制についても事後報告となった星野監督は激昂し『だったら俺がやる!』となったそうです。緊急を要するため、この件は、パ理事長を務めるオリックスの村山良雄球団常務も説得に当たったとのことですが…」(同・記者)
7日のオーナー会議後、村山常務は、三木谷氏の名代を務めた楽天・井上智治オーナー代行の「星野監督は無理」の言葉を報道陣から聞かされた。温厚な村山常務の表情が、怒りで一変したという。星野監督の説得も務めたにもかかわらず、恥を掻かされたからだ。
かくして、楽天はチーム内外からの信用を失った。