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国民が知らぬ間に… 急転決着! アメリカ産牛肉ついに輸入規制緩和 TPP“フライング発車”の怪(2)

 繰り返せば、野田政権は最後までTPPへの参加を正式表明せずに“カミカゼ解散”に踏み切った。それどころか、先に交渉参加が決まったメキシコ、カナダを横目に、日本は交渉のテーブルにさえ着くことなく、国論が二分されたまま選挙に突入する。
 そこへ牛肉問題で“フライング”の風穴が開いた。市場関係者は「スーパーや外食産業には格好の追い風になる」と指摘する。円高を逆手にとって牛肉の流通量が拡大し、市場が活性化するとの見立てで「最も恩恵を受けるのは牛丼チェーン」と関係者は口を揃える。

 この2〜3年続いた値下げ競争で、牛丼各社は体力を疲弊させている。先ごろ発表された中間決算純利益では、『すき家』『吉野家』『松屋』の大手3社が、枕を並べて減益に陥った。証券アナリストが喝破する。
 「コメと牛肉の価格高騰に加えて、値下げによる消耗戦への反省から、値下げの回数を減らしたことで集客効果が得られなかったことが、まず大きい。最近は、すき家が『豚かばやき丼』(630円)、吉野家が『牛焼肉丼』(480円)を投入したように、各社は高価格路線にシフトしている。値引きに慣れた消費者に新鮮味を訴える作戦です。そこへ規制緩和と円高の“ダブル追い風”で米牛肉がドバッと入ってくれば商品幅が一気に広がる。これを武器にまたゾロ集客効果が見込める値下げ競争に打って出れば、今度こそ消費者は拍手喝采を送るに違いありません」

 確かに牛丼ファンには朗報に違いない。一方で、TPP推進派の経産省や外務省を向こうに回して農水省が反対の旗振り役を務めても、利権死守と自らの当選しか眼中にない政治家が双方の応援団に回っているのだから世話がない。“何も決められない政治”をよそに、内閣府や厚生労働省のエリート官僚は、TPP参加に向け着々と布石を打ってきたというわけだ。
 「これぞ米オバマ政権の対日工作が水面深く進行し、着々と成果を上げた何よりの証拠。米国は牛肉だけでなく保険、自動車にも以前から強い関心を示してきた。日本がTPPの交渉参加を表明しようとしまいと、保険や自動車の分野でも、気がついたときには米国ペースに乗せられ、逃げ場がなくなっていたなんてことが十分あり得る。平時はともかく、標的を定めたときの米国は厄介なのです」

 前出の通商関係者はそう警告する。実際、米国は日本郵政傘下の巨大な『かんぽ生命』への警戒を怠らないだけでなく、「これをどう取り込むかに腐心している」というのだ。
 「米国は、日本が政治的事情からTPPにスンナリ参加するとはハナから思っていません。だからこそ日本のトップ官僚を洗脳し、彼らを通じて与野党の政治家を味方に引き込んだ。米国生まれの保険会社が豊富な資金力をバックに、日本で急成長しているのだって基本は同じ。この国はTPPに及び腰だから参加ウンウン以前に、とにかくクサビを打ち込めとの論法です」

 日本の政界に嵐が吹き荒れる中、アメリカが弄するTPPを巡る奇策は、不気味さを増すばかりである。

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