プーチンさんは3月1日の記者会見で「'56年(日ソ共同)宣言は法的効力がある」と言いました。日本の国会とソ連の最高会議が批准したものであり、これを踏まえて領土問題を解決することを考えていると。3月4日の投票日前に、領土という国家主権に関わる話をするのは、選挙にマイナスのはずです。それでも敢えて踏み込んだところにプーチンさんのリーダーとしての気概を感じます。
昨年の東日本大震災のとき、首相だったプーチンさんはいち早く「ガスでも石油でも、日本が必要としているだけ出すように」と表明しています。私はプーチンさんが大統領になれば領土問題は動くと思いました。そして、動かすための決め手は日本の総理大臣がカードを切ることです。
〈野田総理の頭の中は消費増税のことでいっぱいだ。領土問題に関心があるとは思えないが…〉
3月5日、野田総理はプーチンさんに当選祝いの電話をかけましたが、世界の首脳の中で一番早かった。そのとき、開口一番「ハジメ!」と言ったんです。これは柔道の審判のかけ声ですが、プーチンさんは大笑いしたそうです。ジョークを交えてお祝いできるあたりは、野田総理にはなかなか知恵があるんですね。
北方領土問題は戦後政治最大の負の遺産ですから、来年の秋まで任期がある野田さんにはしっかりやって欲しい。今年のAPEC開催地はウラジオストクなので、この重要な国際会議の成功に日本も協力すること。プーチンさんはこれを機に極東アジアの開発を考えていますよ。
〈脱原発の流れが加速する中、当面、エネルギー政策の柱となりそうなのが天然ガスだ〉
天然ガスはクリーンエネルギーです。ロシアにはその地下資源がたくさんあります。新党大地は北海道の地域政党として、ロシアとの関係をもっと深め、北海道をエネルギーの備蓄基地にしたいと考えています。
私が昔からロシアとの関係をつくってきたのは、領土問題解決のこともありますが、エネルギー問題も大きいのです。日本が対米関係で弱いのは、化石燃料をアメリカに握られているからですよ。別にアメリカとケンカしろと言ってるんじゃなくて、中東はテロが起きるし政情不安なところが多い。日本はサウジアラビアに原油輸入量の30%も依存している。サウジから入らなくなったら大変ですよ。
5月にはビザなしで北方領土を訪問する予定で、国会が終われば国会議員を連れてサハリンやモスクワに行きたいと思っています。
私は収監される前に食道がんが見つかったんですけど、もし検査を受けずに収監に応じていたら、がんが進んで終わっていたかもしれません。だからまだ、神様仏様がついているような気がするのです。
捕まるんだったら、もう10年早く捕まっていた方が良かったかな(笑)。