火祭り開催8回目を迎えるゼロワンを衝撃波が襲った。
この日の夕刻、黒覆面にスーツという異様ないでたちで、某火祭り実行委員が都内のFOS事務所に襲来。社長の大谷晋二郎は山形大会に出場していたため不在。その場に居合わせた同実行委員の中村祥之渉外部長が応対した。
同実行委員はFOSに、ある提案をするべく来社。それが他団体の選手が火祭りに優勝した場合の過酷条件だった。
優勝者に与えられる火祭り刀の流出を許した場合には、なんと「その団体の下請けになってもらう」という条件。しかも、これをのまない限り、火祭りの開催自体を認めないというのだ。
今年は新日本プロレスから中西学と真壁刀義、そしてドラゴンゲートの望月成晃、大日本プロレスからも関本大介が参戦してくる。いずれも団体の猛者ばかりとあって危機感を募らせているのも無理ない。事実、2004年には全日本プロレスの小島聡が優勝。あの悪夢を繰り返さないためにも同委員は警鐘を鳴らしたらしいのだ。
この提案に同委員会の中村渉外部長は「火祭りはゼロワンの象徴。他団体の選手に再び渡った場合、ゼロワンMAXで行う必要もなくなってしまう」。すでにチケットも販売しており、いまさら火祭りを中止するわけにはいかないとあって、黒覆面男の要求を渋々了承するしかなかった。
「気持ちとしては大谷に獲ってもらいたい。ここ半年、ケガで我慢してきたし、ライバルの田中が2連覇しているのもあるし」。中村渉外部長は団体存亡の危機に、同団体の代表でもある大谷の奮起を促した。
社長不在の間に決まった“身売り話”。この非常事態に所属選手はどんな反応を示すのか、早くも波乱の予感が漂い始めた。