「沖縄返還後、尖閣の2島は米軍の射場として国際的にも告示されている。中国人はそれも知らずに騒いでいるが、そもそも無人島に早くから着目し法制化したのは中国なのです。しかも海洋資源が絡んでいるため、『絶対に引くことはない』といわれているのです」(自衛隊OB)
ところが、最近になって日本政府は尖閣の国有化を発表し、エネルギー資源の探査を掲げた。これが今回の騒動の原因なのだが、そこには余りある正当な理由が存在するのだ。
実はこの膨大な海洋資源の「先願権」(最初に開発する権利)を所有しているのは、日本の大手商社『双日』を大株主とする『うるま資源開発』(本社、東京都港区)が握っているのである。経済記者がこう話す。
「もともと『うるま』は、第1次オイルショックの'73年に、沖縄の実業家から先願権を取得した『日商岩井』(双日の前身企業)が中心となって設立された企業。現在は双日が7割超を出資している。当時は資源確保が緊急の国策とされたが、中国の横ヤリで40年近くも海洋開発が棚上げにされている状態なのです」
ちなみに、海洋開発は権利取得から3年以内に商業化できなければ権利を失う。そのため同社は2年間に及ぶ資源調査を経て、国に試掘権を申請しようとしたが、その矢先に中国が尖閣の領有権を主張。日中関係への“配慮”から、以後試掘権の認可が下りない状況に陥っているのである。
双日のOBがこう嘆く。
「石油危機を教訓に開発に動いたものの、その後は中国の暴挙を許し続けた格好だ。しかも日本の若者の中には、日本企業が鉱業権を持っていることも知らずに尖閣問題が単なる領土の分捕り合いだと思っている者もいる。あの海域に日本の国益を左右する資源が埋まっており、それを中国が強奪しようとしていることを認識するべきなのです」
ちなみに、'94年の経産省の調査では、周辺海域に眠る石油や天然ガスは、石油換算で約32.6億バレル。蛮行を繰り返す中国相手に、マイルドな対応をしている場合ではないのだ。