10月16日に突如、香港の民間活動家団体『保釣(釣魚島防衛)行動委員会』の羅就主席が、11月初旬に魚釣島(尖閣の中国名)への上陸を宣言。連動して、東アジアの海洋覇権を狙い続ける中国が、ついに「尖閣強奪計画」を実行に移す可能性が高まっているのだ。
政治部記者がこう語る。
「この発言は、産経新聞が羅就氏へ電話取材をして伝えたものだが、その強硬姿勢に日本政府は大慌て。同氏の計画は『中国と台湾の旗を持って抗議船を出航させ、台湾や福建省アモイから同時出航する抗議船や米国、カナダの同志とも協力して上陸する』と大がかり。自衛隊や海保、米軍が緊張感を高めているのです」
ただ、日本政府が俄然、警戒感を強めだした原因はこれだけではないという。
昨年の終戦記念日(8月15日)に香港と中国本土の活動家たちが乗り込んだ抗議船が、海上保安庁の放水を振り切り、魚釣島に上陸。高々と中国の五星紅旗を掲げたのを、ご記憶の方はいるだろうか。
実は、この際に上陸したのが『保釣行動委員会』のメンバー。羅就主席は、一連の作戦を指揮した人物と目されているのである。
そのためか、防衛省筋では、おぞましいシナリオが飛び交っている。
「そもそもこの組織は活動資金が乏しく、大がかりな作戦を展開できる団体ではないのです。ゆえに昨夏の上陸作戦の折には、『中国政府が資金を提供した』との情報が寄せられたほど。これを考えれば、今回も中国政府が支援している可能性が高く、中国海軍と連動した本格的な強奪作戦が展開することが予想されるのです」(防衛省関係者)
また、自衛隊関係者はこう語る。
「もしも、中国政府の息のかかった組織の上陸作戦に、カナダや米国などの組織が参加。その間隙を縫って中国軍が上陸を果たせば、国際的にも中国の領有権、実効支配が確かなものになってしまう。このため、中国に対し強靭姿勢を取る官邸筋も、今や情報収集に躍起なのです」
つまり、この活動家団体は国際世論を味方につけ、中国軍を魚釣島に上陸させるための先兵とみられているのだが、この見解は突飛な話ではないという。実は、国際社会では世界の海洋覇権を目論む中国が「いよいよ強引な手段を講じ始めるだろう」との噂が蔓延しているからだ。