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公安筋がマーク オウム・菊地直子、高橋克也の逃亡生活を支えた闇組織の正体(2)

 また、別の捜査関係者はこう語る。
 「高橋が1000万円以上のカネを蓄えていた複数の口座は全て『櫻井信哉』名義だったが、警察は別名義を使った口座もあると見て血眼になって探している。支援組織がほかにも不正な住民票を提供した可能性が高いからです」

 ただし気になるのは、なぜ脱会者を装う残党組織が、いまだに2人を支援し続けていたのかという点。
 そこには、教団側がひた隠す“秘密”が横たわっていたようなのだ。
 「菊地は教団中枢ではパシリとして使われていたが、多くの幹部と肉体関係を結び、他の幹部からも寵愛を受けていた。いわば、教団の裏側を知り尽くした女だったのです。教団側はそうした“危険人物”の逮捕をなんとしても避けたかった。なぜなら、サリン事件をはじめとするオウム事件の多くは裁判も終わり、一応の決着を見せているが、実は逮捕を免れた者がゴロゴロいるといわれているからなのです」(社会部記者)

 高橋容疑者にしても状況は全く同じ。『地下鉄サリン事件』や『オウム真理教被害者の会会長VX殺人事件』(いずれも'95年)など、6件の事件に関与していたことは知られているが、それ以上の“秘匿情報”を握っている可能性が高いのである。
 前出の公安関係者はこう語る。
 「公安警察が注目しているのはオウムと暴力団の関係だ。'95年に上九一色村(=現・山梨県・富士河口湖町)の教団施設に警察が家宅捜索をかけた際、サティアン内から旧ソ連製ヘリコプター『Mi-17』が発見され、その後自動小銃『AK-47』も押収された。これは裏実行部隊のトップだった早川紀代秀死刑囚が、ロシアマフィアから調達したと伝えられるが、この際に『数千万から億の謝礼が暴力団に流れた』といわれている。パスポートなどの偽造に従事していた高橋は、その実行部隊を側面から支えていたはずなのです」

 ちなみに、強制捜査時に押収された「早川メモ」には、今後の購入品目としてこんな記載もあったほどだ。
 〈○戦車6台or 20代(注・原文ママ)74万ドル ○戦車 T72 新品百万ドル○F29(注・ジェット機か?)新品で数百万ドル ○ヘリコプター938万5百ドル 核弾頭はいくらか〉

 また、前出の社会部記者はこう明かす。
 「逮捕時に麻原個人の金庫からは、現金7億円と北朝鮮製の金の延べ棒が押収された。『北から薬物を密輸していた』といわれた、教団の裏側を高橋が知っている可能性が高いのです」

 要は、オウムの残党や闇社会の人間にとって、菊地と高橋両容疑者の逮捕は命取り。「それを防ぐためにカネと支援を継続してきた」と考えられているのである。
 もっとも、この逃亡生活を支え続けた莫大なカネは、どうやって工面されたのか。オウムは一連の事件後、『アレフ』と『光の輪』に分裂し、信者数も減って弱体化の一途をたどってきたはず。脱会を偽装した残党組織にも金銭的余裕は残っていないはずなのだ。

 だが、その実情は全く逆なのである。
 「実は、一時信者数が300人程度まで落ち込んだ『アレフ』は勢力を吹き返し、今では全国に2000人前後の信者を抱えているのです。この教団の怖いところは、出家信者が財産を教団に差し出すことで、2000人規模になると教団にはカネがうなる構造になっている。しかも、以前オウムは都内でパソコン店やラーメン店を経営していたが、近年は介護事業などにも進出しているらしいという。こうしたカネは高橋を支援する脱会偽装グループにも当然、流れているはずなのです」(前出公安関係者)

 こうしたカネが、今も高橋容疑者の逃亡を支え続けている可能性は大。同容疑者の命運を握っているともいえるのだ。

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