ハナ差2着と涙をのんだオークス以来となるレッドディザイアだが、ひと夏越してさらなるパワーアップを遂げている。
体はひと回り大きくなり、付くべきところに筋肉が付いた。春の時点でもすでに完成の領域に近づいていたが、松永幹調教師の言葉を借りれば「すべての面でボリュームアップしている」とのこと。もちろん、変わったのは見かけだけではない。動きの切れも、春とは比べものにならないぐらい進化している。
9日の1週前追い切りでは、本番同様、四位騎手がまたがった。坂路800メートルを50秒フラット、この破格の時計を楽な手応えでマークしたのだ。全体のタイムもすごいが、特筆すべきはラスト3Fの35秒9。そこはちょうど傾斜がきつく、息も脚も上がってしまう馬がほとんど。36秒を切るというのは驚がくといっていい速さだ。
この数字がモニターに映し出されると、ある関係者は「朝一番といってもこんな時計はなかなか見られへんで。ホンマすごいわ」と興奮気味に話していた。まさに超抜。夏場の成長はやはりかなりのものだ。
大渡助手が言う。「あのひと追いで馬に気合が入った。とにかくすごい瞬発力だった。重心が低く沈み込み、まったくブレることがなかった」と肉体のレベルアップを強調した。しかし、それを支えているのは、何より精神面の成長だという。
「母系がカリカリしやすい血統だったので、春はそこまで攻められなかった。それが今はうるさいところがまったくないんだ」と満足そうに笑みを浮かべた。
近くて遠い存在だった2冠牝馬ブエナビスタ。しかし今度こそというモチベーションは、ディザイアが調教で躍動するたびに高まっている。
「ブエナを倒すのが最大目標。だからこそ足踏みはできない」
この気持ちを秋華賞での激突まで持ち続けるためにも、ここは最低でも「金」が求められる一戦だ。
【最終追いVTR】1週前に猛時計をマークしている関係で、今朝は坂路で反応を確かめる程度となった。それでも、道中からスピード感満点の走りで、800メートル55秒0→39秒0→12秒0(G仕掛)とキレのある動きを見せた。久々だが、盤石の仕上がりだ。