A:唐突ですが、がんの全身転移の有無を調べる精密検査で行われるPET(ペット)をご存知でしょうか。PETの検査は、がん細胞が正常細胞に比べて3〜8倍のブドウ糖を取り込むという、がん細胞特有の性質を利用します。
ブドウ糖に近い成分(FDG)を体内に注射し、全身をPETで撮影すると、がんとその転移先が赤く染まるのです。脳はブドウ糖しかエネルギー源として利用できないので、正常な人では脳が赤く染まります。その他の部位で、脳ほど赤く染まるところはありません。
しかし、たとえば肺がんであれば肺のその部位に、胃がんであれば胃のがんが存在する部位が真っ赤に染まります。もし肝臓や脊椎に転移していれば、それらの部位も同様に真っ赤に染まります。
これはどういうことかというと、がん細胞はブドウ糖が大好物です。正常細胞よりもブドウ糖を取り込む力が強大で、どんどんエネルギー源として取り入れ、がんが増大することを意味しているのです。
●3食のうち1回はご飯、麺類、パンなどを食べない
がんになったら、ジュース、缶コーヒー、アイスクリームなどの糖分は控えるというコンセンサスはあると思いますが、炭水化物も消化、分解されブドウ糖になるのです。
最近、「50歳を過ぎれば肉と野菜だけ食べればよい」というキャッチフレーズを目にしました。人間も毎日、細胞の新陳代謝によって細胞のコピーが行われますが、特に50歳を過ぎるとミスコピー(つまり、がん細胞)が増えます。
普通は自然免疫が働いてミスコピーは排除されます。ところが、50歳を過ぎるとミスコピーが増え、自然免疫のみでは排除しきれなくなり、CTに写るほどのがんに成長してしまいます。
前出の「肉と野菜だけ食べればよい」というキャッチコピーは、その栄養源である炭水化物を断って、がんが育たないようにしようということを言っているのではないでしょうか。
ご質問の方は、野菜を摂ることが望ましいのですが、野菜嫌いとのこと。野菜を摂りたくないなら、炭水化物の量を減らすようお勧めします。
1日3食のうち1回はご飯、麺類、パンなどを食べないように! 肉は適当に食べて構いませんが、カロリーオーバーの観点から油物は少なめにしましょう。
牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を牧病院(大阪市)で実践。小山病院(大阪市)院長。