「都内で人気の納骨堂は、都心部の寺院内や新しいビル内に建設されています。高級感やアクセスのよさもさることながら、平均購入額が60万円程度という安さもあり、需要が拡大しています」(葬祭プランナー)
通常、霊園の区画内に墓を建てる費用は200万円前後が相場だが、都心の場合は500万円以上と高額なため、予算が合わず遠方の霊園に墓を建てざるを得ないという話は数多い。
「墓を持てない人も多く、首都圏では自宅に遺骨を置いている家庭が100万世帯もあると言われています」(同)
それほどまでに行き場のない遺骨が溢れているのだ。
墓地販売業者は「時代の変遷とともに墓のスタイルが変わってきている」と指摘する。少子化や核家族化が進み、生前中に永代供養納骨堂を夫婦や家族で予約するケースは、もはや日常の光景だという。
「高齢者を中心に、都心の納骨堂や樹木葬の霊園を巡る“終活”ツアーが盛況です」(旅行代理店)
こうした需要をにらみ、地方においても納骨堂や樹木葬専用霊園の建設ラッシュが相次いでいる。有名な寺院においても顧客流出を懸念し、ロッカー式の納骨室を設置するところも増えつつある。
「終活ビジネスに便乗してもうけている企業が増え、国税局も目を光らせていますよ」(全国紙社会部記者)
終活にまつわる新規ビジネスとして遺骨を寺に郵送して葬ってもらう「送骨」サービスや、安価で僧侶を派遣するビジネスまで広がりを見せている。
もちろんいい話ばかりではない。親族の反対を押し切って共同墓に入ったものの、数カ月もたたずに親族の墓に移されたりするなどのトラブルは枚挙にいとまがない。
単純に「立つ鳥跡を濁さず」とはいかないのが現実のようだ。