「ここ2戦は千二を使って文句なしの結果を残してくれた。何より気持ちの激しいタイプで、普段でも猛獣のようにいきなり噛みついてくるほど。だからこそ、短い距離が合うんだろうね」と中川助手はうなずいた。
一昨年のNHKマイルCで2着して以来、長いトンネルを走り続けた。NHKマイルC後、右の第一指節種子骨を骨折。一時は能力喪失を覚悟するほどの重傷だった。そこから何とか立ち直ったものの、1600m前後ではあと一歩詰めの甘いレースを続けていた。
それが前々走の淀短距離Sでは道中11番手から一気の差し切り。前走のシルクロードSは15番手からの強烈な追い込みで重賞初Vを達成した。
「内枠だったからどうかと思ったけど、出遅れが功を奏して思い切って外を回したのが良かった」
前残りが多い京都の1200mで見せた末脚は大きな可能性を感じさせた。
中間はさらに上昇を思わせる動きだ。19日の1週前追い切りは栗東DWコースで6Fから81秒0。ラスト1Fも12秒3の鋭さ。ブラックシャンツェ(古馬1600万)に軽々先着してみせた。
「具合はいいよ。中京も開催の後半になると外差しが決まってくる。本当に楽しみだね」
電撃戦なら折り合いを気にせず、直線までジッと脚をためられる。あとは爆発するだけだ。