2018年11月、海外ニュースメディア「ODDITY CENTRAL」は、中国の当時48歳の男性が、風邪薬の依存症に陥り、地元メディアのインタビューに「10年間で3万錠以上を摂取していた」と語り話題になっていると伝えた。
同記事によると中国・長沙市に住む王さんは、約10年前の2008年、頭痛の症状を和らげるため、市販の風邪薬を複数購入したという。それらの薬が非常によく効いたため、王さんは少しでも違和感を覚えると、すぐに風邪薬を飲むようになってしまったそうだ。薬を飲み続ければ、体に耐性ができるため、徐々に薬の量が増えることに。王さんは1日8〜12錠の風邪薬を必要とし、服用していないと、理由もなくイライラしたり、気分が落ち込んだりするようになってしまったという。
王さんの家族は、風邪薬に依存する王さんを心配し、ずっと病院を受診するよう勧めていたが、結局王さんが薬物中毒であると診断されるまでに10年の月日がかかり、その間に王さんは3万錠以上の風邪薬を飲んでいたという。
医師が王さんの飲んでいた風邪薬の成分を解析した結果、ニコチンやアルコールと同じく、強い依存症状を引き起こすことがあるカフェインが、大量に含まれていることが判明。同記事によると、王さんは医師の指導のもと、依存状態を克服しようと、風邪薬の服用量を徐々に減らし、離脱症状のうつ状態を最小限に抑えるため、抗不安薬と抗うつ薬を服用していると報じられている。なお、現在の王さんの容態については不明である。
同記事の取材に対し、医師は、王さんが服用していたようなカフェインを含む薬は、指示されている容量を一時的に使用する分には、中毒を引き起こす心配はないが、継続して飲み続けると、依存状態になることはあり得ると語っている。さらに医師は、王さんのようなうつ症状に悩まされる場合は、早めに医師の診察を受けるよう勧めているという。
このニュースを受けネット上では「1日12錠ってお菓子じゃないんだから」「もはや違法ドラッグの使い方だな」「10年間も悩んで原因がカフェインだったなんて」「カフェイン中毒ならコーヒーでもなり得るのかな。自分は毎日3杯は飲んでるけど」「他人事じゃないな」などと驚く声が寄せられている。
一般に、購入することのできる風邪薬は眠くなる・のどが乾く・身体がかゆくなる・身体にブツブツが出る・動悸がする・めまいがする・お腹が痛くなる・下痢をするなどが主な副作用の症状とされている。
しかし、一般社団法人日本生活習慣病予防協会が紹介した消費者庁の喚起によると、風邪薬や痛み止めなど「一般用医薬品」による副作用は、2009〜2013年度の5年間で1,225件あり、うち死亡した事例が15件ある。副作用の症例数で最も多いのが総合感冒薬(風邪薬)の400件(死亡8件、後遺症9件)だ。死亡や後遺症が残った症例の主な副作用は、「肝障害」「間質性肺疾患」「腎障害」「喘息発作重積」などだという。
「風邪を引きそうだから」といって風邪薬を頻繁に服用する人もいるかもしれないが、注意が必要だ。
記事内の引用について
Man Addicted to Cold Medicine Has Taken Over 30,000 Pills in the Last 10 Years
https://www.odditycentral.com/news/man-addicted-to-cold-medicine-has-taken-over-30000-pills-in-the-last-10-years.html
風邪薬など市販薬にも副作用 死亡が15件、消費者庁が注意喚起(日本生活習慣病予防協会)
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2015/002910.php