地震学の権威、武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏は言う。
「今回地震が起きている辺りは、もともと地震の多発地帯。というのも、太平洋プレートとフィリピン海プレートが茨城県南部まで伸びてぶつかり合っているからです。一時少なくなってはいましたが、また戻りつつあると考えられます」
加えて島村氏が懸念するのは、九州から関東にかけ日本列島を貫く大断層、中央構造線の活発化だ。
「関東まで伸びる中央構造線が、首都圏にまで達しているのではないかという説もある。地下鉄工事などで深くまで掘削してみると、どうもそれらしきものが出てくるんです。中央構造線は熊本地震以来、活性化しており、6月25日に発生した長野県下の震度5の揺れも中央構造線上で起きた。その意味では、非常に気になります」(同)
昨年4月の熊本地震発生当初から、中央構造線断層帯上での地震多発について多くの専門家が警鐘を鳴らしている。
「熊本地震を受け、中央構造線沿いでの断層の破壊が進み、ボタンが一つずつ弾けるように今後10年でゆっくり関東の方まで地震の連鎖が広がる――そんな見方が強まっているのです。そのスピードは思ったよりも速く、今年6月20日、大分県と愛媛県に挟まれた豊後水道を震源としたM5の地震がありました」(サイエンスライター)
約420年前の1596年9月1日、愛媛県を震源としたM7クラスとされる慶長伊予地震が起き、その3日後に大分県で慶長豊後地震(推定M7)、さらにその翌日に兵庫県で慶長伏見地震(同)が発生しており、これらも中央構造線に沿った連動地震という指摘がある。
「長大な活断層群のうちのある部分で地震が起きたことは、同じようにエネルギーが溜まっているその隣の部分にとって“留め金が外れた”ことを意味します。つまり、地震が起きた部分の隣で地震が起きやすくなる。世界的にも、この種の“地震の連鎖”は経験しているんです。長野の地震も茨城の地震も、中央構造線が絡んでいるとなると、首都圏で直下型地震が起きる可能性がある。東京は堆積物が多いため、まだ状況ははっきりしないが、この際きっちり調査すべきです」(前出・島村氏)
待ち受けるXデー! 最悪の事態に備えて常に警戒が必要だ。自分の身は自分自身で守るしかないのだから…。