DDTはもう、インディーという言葉ではくくれない。23日、初進出を果たした両国国技館大会は超満員札止めとなる8865人の観衆を動員。メジャー団体でも両国国技館、日本武道館は集客に苦戦をする時代である。用意された客席がビッシリと埋まる光景は、大健闘どころか驚異的である。
試合はダークマッチを含む全10試合で、ロイヤルランブル、ハードヒット戦、男色系マッチなど、実にバラエティに富んだラインナップ。色合いが同じ試合が一つとしてない。
観客を飽きさせない構成も見事だが、試合だけでなく映像を駆使してファンを楽しませてきた映像プロレスのパイオニアによる、今大会の作り込みもまた見事。
エンターテイメント色の強い試合では、選手たちがとことんバカらしく戦い、それが笑いと一体感を生む。高木三四郎いわく「いい大人がバカ騒ぎして、お客さんも一緒にバカ騒ぎするのがDDTのプロレス」。
メーンでは生え抜き選手の飯伏幸太、HARASHIMAがグレードの高い試合を見せつけ、きっちりと大会を締めくくってみせた。このふり幅の広さがDDTの魅力であり、若い力の躍進は団体の未来を明るく照らすものだ。
1997年5・14北沢タウンホールで旗揚げをしてから12年。高木は「ファンの人がもっと大きい夢を見続けるなら、一緒に日本武道館、東京ドームを狙いたい。この勢いをいかに継続させていくかが課題。毎年やっていかないと意味がない」と来年7月25日に再び両国国技館に進出することを発表。
さらに言葉を続ける。「プロレス不況と言われるけど、まだまだプロレスは死んでいない」。固定観念にとらわれず、限界を設けずにまい進してきたDDTは、プロレス復興の鍵を握る存在になってきそうだ。
高木はみちのくプロレス会長のザ・グレート・サスケと対戦。試合にはお互いの認定した凶器の使用可能のウェポンランブルのルールが適用された。おでん・携帯電話・お互いの嫁・和桶と様々な凶器が入り乱れたこの試合。高木は自爆で悶絶するサスケをシットダウン・ひまわりボム・オン・ザ・ロッカーで仕留め勝利をもぎ取った。試合後一致団結した二人はさっそくタッグを組み、9・27後楽園大会でヤス・ウラノ&KUDOの持つKO-Dタッグ王座に挑戦することにになった。
新日本プロレスの黒いカリスマ・蝶野正洋はポイズン澤田JULIEと対戦。ポイズンの呪文や得意技キャトルミューティレーションに苦しめられることはあったもののSTF・ケンカキック・コブラツイストなどを繰り出し、最後はKO勝ち。
ポイズンの呪文にかかり右手を震わせてしまった蝶野は「レスラーそれぞれお客さんの声援とかが一つのエネルギーになる。お客さん達の気持ちがそうさせた」と分析。
それに対し、してやったりのポイズンは「蝶野とやるのは100年早かった。それでも俺の勝ちだよな。通じただろ、俺の必殺技。見ただろ」と記者に息巻いていた。
メーンでは“ゴールデンスター”飯伏幸太が王者HARASHIMAの持つKO-D無差別級王座に挑戦し、見事奪取に成功、初戴冠を果たした。
蒼魔刀の必殺技に加えダイビングボディープレスなど空中戦も見せる王者に対し、飯伏が新技のフェニックス・プレックス・ホールドを放ち、勝負を決めた。
戦い終えた飯伏は今後
について「今までと同じく、DDTだけでなく他団体にもあがる」とした上で「(ノアの)GHCジュニアと(新日本の)IWGPジュニアとこのベルト(KO-D無差別級)の3本を賭けてキャンプ場でタイトルマッチがやりたいです」とDDTのチャンピオンらしい野望を語っていた。
高木「サスケさん自身も大人げないが、あの自爆はもっと大人げない。試合には勝ったが勝負では負けた」
サスケ「いつかみちのくも両国やりたい。サスケ40歳になってもまだまだやれる」
蝶野「DDTとカラーの違いはあるよ、正直。でもプロである以上お客さんを楽しませないとな」
ポイズン「100年後、150年後にもう1回やろう。お前らもう死んでるかもしれないけど魂でプロレスやってやるよ」
飯伏「(連戦で)ずっと走りっぱなしで疲れている部分もあった。でも、王座が獲れて無くなりました。たくさんの人の前に立てたことがうれしい。DDTは今から出発です」