セ・リーグで貯金があるのは、4勝2敗の中日だけ。が、4連勝した後に強風で有名な千葉マリンでのロッテ戦に連敗。「いやあ、この球場は難しいなあ」と、あのしたたかさが売りの落合監督が嘆く有様だ。
セ・リーグの首位を快走していた巨人は3勝3敗の五分。「空中戦にさせない野球をやる」と宣言していた梨田監督率いる、ダルビッシュが登板しないパ・リーグ最下位の日本ハムに連敗している。
広い札幌ドームでは、これしかない巨人お家芸の一発攻勢が不発に終わったからだ。巨人の空中戦は、狭い東京ドームでしか通用しない現実を露呈してしまった。
阪神、横浜、広島が2勝4敗。ヤクルトにいたっては6連敗という屈辱的な成績だ。対するパ・リーグは西武、日本ハムが5勝1敗でもっか交流戦トップ。ロッテが4勝2敗で中日と並び3位。ソフトバンク、オリックス、楽天の3球団も五分の成績だ。
ここまでハッキリした数字が出てくると、セ・リーグ球団は言い訳が通用しなくなる。西武OBなど「中村がセ・リーグの狭い球場で1年間戦ったら、ホームラン70本は打つよ。唯一広い甲子園球場にしても、右翼から左翼へ強い浜風が吹くからね」と豪語する。
ここまで言われても、現状ではセ・リーグ球団は反論できないだろう。さらに、パ・リーグ出身のOBが追い打ちをかける。
「ハッキリ言って、セ・リーグの球審はストライクゾーンが広いね。あれだけワイドに取ってくれたら、投手は楽だよ。ダルビッシュ、岩隈、田中、涌井らパ・リーグのエースたちがセ・リーグに行ったら何勝するかわからない」と。
打者に有利な狭い球場、投手にはその不利を埋め合わせるような広いストライクゾーンという恩恵があるというのだ。いってみれば、温室育ちのセ・リーグ選手。
一方、パ・リーグの投手は広い球場というアドバンテージはあるものの、狭いストライクゾーンと戦うから、打者を抑え込むパワフルなボールと精密なコントロールを要求される。打者も広い球場を克服してホームランを打つには、フルスイングできる体力と技術が要求される。同時に、広い球場は二塁打、三塁打が増えるから脚力も必要になる。
長年の環境が生んだ「パ高セ低」の実力格差ともいえる。セ・リーグ球団側に反論があるのなら、勝って実証するしかない。結果がすべての勝負の世界だから。