「神宮球場のクラブハウス前で待ち構えていたファンが、高田監督に罵声を浴びせた日もありました。開幕してまだ30試合程度で『辞めろコール』とは…」(前出・チーム関係者)
交流戦突入前の37試合を消化した時点でのチーム成績は、13勝23敗1分け(最下位)。チーム防御率3・57はリーグ2位だが、チーム打率2割3分6厘はリーグ5位。総得点125はダントツの最下位で、同部門トップの巨人は204得点。打線が、いかに頼りないかが分かる。
「高田監督の契約期間は今季限り。すでにチームが要請したゼネラルマネージャー就任を内諾したとの情報もあり、フロント幹部として次期監督を支える側にまわるのは既成路線です。おそらく、投手コーチの荒木大輔が監督に昇格するんでしょう」(取材陣の1人)
しかし、この成績では高田監督がゼネラルマネージャー(以下GM)に就任しても、チームをまとめることはできないだろう。すでにGMの手腕は日本ハムで証明されているが、高田監督は監督業に“未練”があったとされ、その思いがヤクルト入りに繋がった。
周囲が懸念するのは、今の成績ではGM就任後の統率力に影響が出かねないということ。監督業への強い思いを大義名分に「退団」してしまうのではないかとも言われている。
「退団ならまだマシな方ですよ。今の成績ではシーズン途中での『休養』を検討しなければなりません。『休養』させた監督をチーム編成のトップ(GM)に置くことはできません」(前出・関係者)
高田監督が惜しまれる理由は、2つ。同監督の就任と前後し、ベテラン・石井一久がFA退団した。ヤクルトは人的補償の選択を勧めたが、当時、石井の移籍先である西武は「大砲を奪われるのではないか? 内野手を狙われているらしい」と警戒し、それに基づいてプロテクト選手のリストを構成した。だが、ヤクルトが指名したのは、外野手の福地寿樹(34)。長距離タイプでもなければ、内野手でもなかったわけだ。福地は『2年連続盗塁王』(2009年〜)を獲得し、チームの中核を担う活躍も見せている。完全に相手球団のウラをかいた戦略に、ヤクルトフロントは「さすが!」と言うしかなかった。
「球団上層部に明治大学の出身者が何人かいます。明大出身の高田監督の去就については軽はずみなことは言えません。高田監督の支持者は多いです。ファンはクライマックスシリーズ進出の可能性が見えてくれば、高田批判をやめてくれると思う」(同)
今回の緊急渡米は、『高田バッシング封じ』でもあるのだろう。
「このまま終われば、次期監督はゼロからチーム作りをしなければなりません。せめて打線だけでも…」(同)
ライバル球団の渉外担当者たちによれば、セギノール(前楽天)、ボカチカ(元西武)など日本プロ野球の経験者が米独立リーグでプレーしており、メキシコリーグには前オリックス・フェルナンデスもいるそうだ。前近鉄のタフィ・ローズも復帰先を探している。新鮮味には欠くが、他球団経験者なら確実な計算も立ちやすい。昨季後半戦もチームが大失速しており、交流戦の結果次第では、ヤクルトは“大激震”に見舞われるだろう。