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警察との「反社会勢力データベース」共有化を断念した全銀協の苦渋

 昨年の『暴排条例』施行後、反社会的勢力との取引中止の推進は銀行も例外ではなく、融資先や預金顧客の調査を迫られている。明らかに暴力団関係者であるとされた人物に対しては、「解約のお願い」を行った例もあるが、銀行側は全ての暴力団関係者を把握できるわけではない。

 全国銀行協会は、以前から行っていた反社会的勢力の情報共有データベースの構築、会員行へ情報提供の仕組みをより強化すべく、警察庁との連携を模索していた。なぜなら、この全銀協データベースは、新聞・官報などの公開情報を基に構築されているもので、あまりにも弱かったからだ。
 近い将来、警察庁が保有しているデータベース(構成員情報)と連携することができれば、アングラマネーを銀行口座から排除することが可能となる。警察庁側もこの計画に賛同し、平成26年度からの連携を目指していた。

 しかし、ここにきて計画自体が延期となったことが判明した。理由は、その連携にかかる費用負担。現在、金融機関には3億数千の口座があるといわれている。それら一つ一つを照会するシステムや、新規の口座開設依頼がきた際にタイムラグなく“シロ・クロ”判断するシステムを構築するには莫大な費用がかかるのだ。
 「一応、“延期”という形を取っていますが、事実上中止です」と全銀協関係者は言う。また、「自行の口座で数十、数百と反社会的勢力に関連する口座が発見された場合、実際の実務として対応できない」(銀行員)という本音も聞こえている。

 口座解約には費用も時間も人も必要であり、しかも業績に関係ない。むしろ、利益のことだけ考えたらマイナスの業務に対して後ろ向きなのである。
 銀行は当面、現行のデータベースと都道府県の警察との連携によって暴排を進めざるを得ない。“反社”の定義さえ曖昧である以上、銀行に限らず“閉め出し”は難しいということだ。

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