同日、試合のなかった巨人は、ジャイアンツ球場で野手陣の合同練習を行った。「本当は休日だった」とのことだが、チーム打率がリーグワーストであるため、休日返上となったのだ。
「このところ、左投手が出てきたら、村田修一、右投手なら阿部という使い方が増えてきました。ベテランの不振が長引いており、巨人は世代交代の時期にあるのかもしれませんね」(プロ野球解説者)
阿部はこの時点で打率2割3分6厘、9本塁打。月間打率も1割2分5厘と落ち込んでいた。その阿部が打撃ゲージに入ったときだった。マシン側に村田総合コーチと高橋由兼任打撃コーチが移動し、原監督も三塁側からスイングを凝視、さらに遠巻きに清水打撃コーチも視線を送っていた。コーチ総出で見つめられての打撃練習である。
「練習開始前、村田、清水両コーチは阿部の映像を見て、いろいろと議論していた」(チーム関係者)
清水コーチは「体の開きを抑えて振ってみたらどうか」とアドバイスを送った。一段落つくと、高橋兼任コーチが近づいて話し始め、阿部は小さく何度か頷く。アドバイスを送っていたようだが、両者とも何を喋ったのかは明かしてくれなかった。
「阿部の立場からすれば、後輩の選手たちが見ている前で集中的に指導されたわけですから、面白いはずがない。精神的にも落ち込み、逆効果にならなければいいんですが。まあ、阿部がガンガン打っていれば、こんな羞恥も受けずに済んだんですが」(スポーツ紙記者)
集中指導が行われた後の15日の対中日戦ではこんな場面があった。追い掛ける展開の巨人は、六回に一死満塁の好機を迎えた。中日の先発左腕の浜田から、右腕の山井に代わったところで、代打に阿部が告げられた。しかし、結果は最悪の二ゴロ併殺。試合後に原監督は「0点じゃあね。難しいですよ。結果はよくなかった」とボヤいた。
好機を潰した阿部は「チャンスを潰してしまい、申し訳ない」と足早にバスに乗りこんだ。
「阿部は村田の代打で登場しました。代打を送られた村田のプライドも考えると、良策ではありません。阿部、村田の両ベテランを精神的に追い込んでしまったかもしれない」(同)
阿部は今季から一塁手にコンバートされたが、チーム事情によって再び捕手を務め、また一塁に逆戻りという宙ぶらりんな状態が続いている。こうした首脳陣のチグハグな起用が打撃にも影響を与えたかもしれない。
今季残り40試合を切った8月下旬、阪神タイガースが優勝争いで抜け出しつつある。今季の阪神は補強に失敗し、思ったような戦力の上積みができなかったのだが、ライバルの巨人がもたついたおかげなのかもしれない。
「阿部は将来の監督候補の一人。このまま打撃不振が長引けば、プライド、チーム内での存在感にも影響が出かねない。引き際を考えたとしてもおかしくはない。監督候補のまま辞めたほうが今後のため」(同)
原監督は阿部の代打策に失敗した15日の試合後、「愚痴ってるわけじゃないけど」と自らきりだし、こう締め括った。「こういう負けは慣れてるから。行くぜっ!」と。
開き直りで結果が出ればいいのだが。