森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★日本は発展途上国になる

社会 週刊実話 2019年02月14日 06時03分

 パイオニアは、1月25日の臨時株主総会でアジア系投資ファンド「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」から1020億円の支援を受け、同社の完全子会社となることを決めた。パイオニアは、ステレオで大きな地位を築き、レーザーディスクでカラオケブームを巻き起こした。世界で初めてカーナビを開発して、いまだにカーナビ技術でトップを走り続ける。それが、わずか1020億円で外資に売られることになった。今回も、政府は支援の気配さえみせなかった。

 ただでさえ、日本の対世界GDPシェアは、’95年の18%から、最近は6%へと3分の1にまで下落している。こんな外資への叩き売りを続けていたら、日本が向かう未来は、間違いなく発展途上国への転落だ。

 政府は、昨年の外国人入国者数が3010万人と過去最高になったことを誇らしげに語っているが、外国人入国者が急増した最大の理由は、日本経済が転落して、日本旅行が割安になったことではないだろうか。

 実は、日本経済の転落は、我々の老後生活を考えるうえでも、重要な意味を持ってくる。昨年10月に厚生労働省は、社会保障審議会年金部会に興味深い数字を示した。1980年生まれの場合、100歳まで生きる確率が男性6%、女性20%になるという。統計学の世界では“5%有意”といって、間違える可能性が5%以下でないと、その仮説は支持されない。逆に言うと、5%以上の確率で起きることは、「あり得る」と考えないといけない。つまり、我々は100歳まで生き残ってしまうことを覚悟して、人生設計をしないといけないことになる。60歳の定年から、実に40年間もの余生を考えなければならないのだ。

 そのとき、資産運用をどのように考えたらよいのか。普通に預金で持っていたら、物価上昇に負けて、どんどん目減りしていく。長期国債を持っても、金利はわずか0.1%。やはり、資産の目減りを防ごうと思ったら、海外に目を向けざるを得ない。例えば、比較的安全な米国債でも3%近い利回りが得られる現状がある。

 もちろん、外貨建ての金融商品には為替リスクがつきものだ。ただ、今後40年間の長期スパンで考えれば、円安の局面は必ずくる。そのタイミングで円に戻せばよい。また、いまのような製造業のたたき売りを続けていると、製造業の国際競争力の喪失によって、長期では円安になる可能性が高いのではないだろうか。

 そして、日本の発展途上国への転落と円安は、意外に早く訪れるかもしれない。先日、ある地震学者と話していたら、日本経済大転落のきっかけは、南海トラフ地震になるのではないかと言う。南海トラフ地震は、太平洋ベルト地帯を襲うので、東日本大震災と比べて、けた違いに大きな被害を日本経済に及ぼす。日本の多くの企業が、生産停止に追い込まれ、資金ショートを起こす。そこで、グローバル資本が、次々に日本企業を乗っ取っていく。災害に乗じて、経済を支配するというのは、グローバル資本の常とう手段なのだ。

 政府は昨年、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率を上方修正し、80%とした。つまり、老後に大地震がほぼ確実にくる。その前に海外に資産を移しておくことが老後を守る大きな手立てとなるのだ。

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