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北京五輪女子マラソン 大惨敗の原因

 3連覇など夢のまた夢、5大会連続メダルもならず。17日に大注目の中で行われた北京五輪・女子マラソンだが、日本勢は初出場の中村友梨香が13位、メダル候補と目された土佐礼子は途中棄権と、結果は無残極まるものとなった。原因は一体どこにあったのかを検証する。

 見るも無残な惨敗だった。その原因の第一に挙げられるのが北京ならではの“難コース”ぶりだ。まず、序盤から選手たちが泣かされたのが路面の硬さ。一般的なものより約1.5倍硬いと言われる北京のアスファルトが、走る選手の脚をダイレクトに痛めつけた。結果、スタート直後から足を押さえたまま走れなくなり、棄権する選手が続出。「25km過ぎで足の激痛により棄権した土佐の、怪我が再発したのもこれが原因でしょう。またアスファルト、石畳、レンガとコース中に3つも路面の質が変わるのも選手たちの足の負担を増したはず」と分析するのは現地で取材するスポーツ紙記者だ。
 難コースぶりはそれだけではない。7車線分の広大な道路から、突如4m幅に狭まるハチャメチャな走行コースは、選手たちの位置取りを難しくさせていた。「一歩間違えば、狭い道に突入した途端、選手同士がぶつかって転倒する危険性もあり、見ているこっちがハラハラした。走っている選手は位置取りに肉体的、精神的な労力をかなり使ったはずです」(同)
 また、主催側の不手際も多々見られた。1km地点では、「1km」と書かれた看板がコースの真ん中に立ててあり、選手たちが次々にぶつかるアクシデントも。さらに、給水所のテーブルが極端に短く、取り逃す選手や順位を落としながらドリンクを補給する選手の姿も多く見られた。
 しかし、コースや走行環境はすべての選手に平等でもある。お家芸の女子マラソンで無残な結果となったことに、一方では日本陸上競技連盟(陸連)に大ブーイングが巻き起こっている。
 「ひと言でいってメンバーが弱すぎた」と断言するのはスポーツ紙デスク。「足の故障を抱えた土佐とマラソン2回目の中村。どうして3連覇のかかったレースにこんな弱いメンバーで臨むことになったのか、もう一度考え直してみるべきだ」と指摘する。確かにエース・野口みずきが走っていたら、と想像してしまうレースではあった。
 スポーツジャーナリストの増田明美さんは「勝負に徹するのが五輪のレースと分かっていても、最初の5kmが18分24秒という入りでは遅すぎる。さほど暑くない中『世界のエース』野口さんが出場していたら、もう少し速い展開になったのではないか」と見る。
 路面の硬さ対策として特製シューズを用意していた野口だけに、その走りはぜひとも見てみたかったところ。「せめて、3人目の選手を万全の態勢にしておくのが陸連の責任。なぜ(補欠の)森本友の、さらなる代わりを用意しておかなかったのか」と前出・スポーツ紙デスク。陸連は各陣営に強化と準備を任せており、エースが故障したら、その“スペア”はいないのが現状だ。
 さらに、別のスポーツジャーナリストは「今回のレースで分かったことは、五輪予選は結果至上主義ではダメということ。故障の有無や、経験値を加味しないで選手を選ぶからこういうことになる」と見る。同氏はさらに、「38歳のトメスクが金で、36歳のヌデレバが銀。この結果を見れば、マラソンにおいて経験値がいかに重要か分かるでしょう」と指摘する。
 翻って日本の女子マラソン界はどうか。野口は30歳になり、32歳の土佐はすでに引退を決意している。新旧交代の必要性ばかりが叫ばれる女子マラソン界だが、「選手の選び方」を根底から考え直す方が先かもしれない。

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