駅から徒歩1分弱、その亀は亀戸駅前公園の人工池で気持ちよさそうに噴水を浴びている。親亀の背中には羽の生えた子亀が乗り、その背中には孫亀が乗る。未確認生物3代そろい踏みだ。まあ、亀といってもモニュメントなんだけど…。
さて、亀戸だから「亀」の像というのは分かりやすいが、なにゆえ羽をつけたのか?その答えを導くプレートを公園内で発見した。1992年4月1日、江東区が設置したもので正式名称は「はね亀」というらしい。ちょうどバブル崩壊が始まった頃だから、庶民はこの先直面する長期景気低迷など思いもよらなかっただろう。
プレートには「亀戸副都心の促進を願って」とある。聞いたことのない副都心だ。都心に限らず地価高騰や大型都市開発が進んだバブル期にあって、この亀戸も例にもれなかったとみられる。
「亀戸の亀も、親亀、子亀、孫亀揃って促進を願って大空に向かい羽ばたいています」と文言は続く。しかし、やはり亀を飛ばすのには無理があった。ガメラにはなれなかったわけだ。
もうひとつ、この公園には奇妙なモノがある。「ロケット館」と名付けられたトイレで「未来を結ぶ発射基地として展開されるのを願って」設置されたらしい。地元の中年男性にたずねると「そりゃあ知らなかった。俺はてっきり用をたすとき“発射”するからロケット館なんだと思ってたよ」と大笑い。やけに悲しい夢の残骸である。