松本は「上沼さんという人がどれだけの人かわかっていない」と2人の態度を批判し、「勉強が不足していることすら勉強できていない」とバッサリと切り捨てた。さらに、自身も若手時代は審査員に盾突いたことはある過去を語ったが、「お酒にまかせて言ったこともないし、直接言ってきた」と振り返った。
ネットではその相手が誰であるかに注目が集まっているが、これは2012年に亡くなった作家の藤本義一氏を指す。松本は『週刊朝日』(朝日新聞出版)連載のコラムにおいて、藤本氏を名指しで批判している。連載はのちに単行本にまとめられ、『遺書』『松本』(ともに朝日新聞社)として刊行され、200万部を超える大ベストセラーとなった。
本連載において、松本は藤本氏を「素人以下」「今後は笑いに携わるのをやめなさい」と舌鋒鋭く批判している。藤本氏は放送作家などのキャリアを生かし笑いに一家言ある人物として、『ABCお笑い新人グランプリ』(朝日放送系)をはじめとする関西の各種お笑いコンテストの審査員を務めてきた。だが、自身がつまらないと思う芸を酷評するなど、芸に対して好き嫌いの激しい人物として知られた。そのため松本のほかにも、明石家さんまや2011年に引退した島田紳助氏も、藤本氏の審査に批判的な人物として知られる。一方で、ナインティナインは新人時代から評価するなど、無名芸人の能力を見抜く力もあったといえる。
松本は連載においては、藤本氏以外にもあらゆるものに怒りを表明していた。テレビ番組の編集で自分が笑っている場面を別のシーンに繋がれたことや、新幹線など公共の場で騒ぐ子どもにもキレている。さらに、あとがきで「ナインティナインはダウンタウンのチンカスみたいなもの」と記し、長年共演がなかったといった話もある。90年代の松本はあらゆる点でトガッていたのだ。