『江〜姫たちの戦国〜』第7回、出しゃばる江は新たなヒロイン像

トレンド 2011年02月24日 12時30分

 NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の第7回「母の再婚」が、2月20日に放送された。相変わらず江(上野樹里)は歴史上の事件に出しゃばっているが、そこに近年とは異なる大河ドラマのヒロインになる可能性がある。

 今回は清州会議が行われ、市(鈴木保奈美)は織田家筆頭家老・柴田勝家(大地康雄)へ嫁ぐことを決意する。今回も江は清州会議を盗み聞きするなど歴史的事件に介入する。三法師擁立という奇策を使った羽柴秀吉(岸谷五朗)に勝家までもが沈黙させられる中で、江は何故、秀吉が織田家の跡目を決めるのかと問い詰める。
 主人公を歴史上の事件に関係させることは大河ドラマの常套手段である。大河ファンの評価が高い『風林火山』でも桶狭間の合戦が山本勘助の謀略になっている。しかし、江ほど物語の序盤で歴史的事件に介入した主人公は過去の作品では考えられない。

 最近の大河ドラマは女性を主人公とした女性目線の作品が目立つ。『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』や『功名が辻』、『篤姫』である。これらの作品の主人公は歴史の表舞台からは一歩下がった人物であり、だからこそ歴史事件を追うよりもホームドラマ風の演出が強調された。
 逆に悪女と名高い日野富子を主人公とした『花の乱』のように歴史を動かす女性のドラマは支持されない。『花の乱』は足利義政を演じた市川海老蔵のテレビドラマ出世作となるなど役者の評判は良かったが、視聴率では苦戦した。その意味では伝統的な大河ファンは女性に媚びていると不満を抱くが、まだまだ大河ドラマは男尊女卑である。
 『江』も主婦ホームドラマ路線の延長線上と予想された。『篤姫』と同じ田渕久美子の脚本であり、公式ウェブサイトには「企画意図」として以下の文章が掲載されている。
 「生まれ故郷である近江の雄大な琵琶湖のように、いかなる人生の変転に対しても穏やかさを決して失うことなく、すべての数奇な運命を豊かな心で受け入れていった」

 しかし、これまでの放送では、江が受け入れるだけの存在には見えない。結果的に運命を受け入れることになるとしても、簡単に諦めずにジタバタあがきそうである。決して穏やかさを失わない女性には見えない。むしろ、織田信長の魂を受け継いだ女傑に見える。視聴者の受け入れやすいホームドラマ風の装いを示しつつ、歴史に介入する女性を描く『江』は一歩進んだヒロイン像を提示する可能性がある。
(林田力)

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