白鵬は夏巡業は検査のために一時離脱するなど、これまでは基本運動などに終始していたが、この日から取組にも復帰した。ただし、今後については「なんとも言えない」と言う。どうやら、右膝の状態を見ながらの調整になりそうだ。
今年になってフル出場したのは、まだ夏場所の一場所だけ。
「白鵬もついに衰えたか」そんな声がかまびすしいだけに、この夏巡業に懸ける思いはひとしお。じっくり体を鍛え直して秋場所に再起しようと初日から参加していた。
つい最近まで、朝稽古には姿を見せるものの、土俵まわりで四股を踏んだり、すり足をするだけで、ほかの力士たちのように土俵に上がって元気に稽古する気配は見せず、取組からも外れていた。
どうして稽古できないのか。白鵬は名古屋場所で痛めた右膝を指さして、「なかなか違和感が取れないんだ」とこぼした。いまだに痛み止めの薬が手放せないようで、8月上旬には巡業を一時離脱して専門医に診てもらっている。
「この際、しっかり治療した方がいいか、それともこのまま巡業を続けた方がいいか。いっぺん専門医に見てもらう。場合によっては手術ということもあるかもしれない」
しかし、明確な診断結果は出なかったようだ。
「夏場所では左膝もズレたので、両膝とも診てもらったけど、いまのところ、手術するほどのことはないということだった。ただ、爆弾を持っているのは確か。いずれにしても、昨日よりも今日、今日よりも明日、と言った感じで、少しずつよくなってきているので、焦らずにやるしかない。頑張ります」
白鵬はそう言ってはいるが、浮かない顔だった。
どうやら本格的な稽古はこの夏巡業が終わり、9月9日から始まる秋場所の直前になりそうだ。となると、稽古量や相撲勘は大丈夫なのだろうか。
8月初めの新潟巡業では「日本海の魚はおいしいから」と知り合いの寿司職人を呼んで500人前を握らせ、力士や親方など関係者に大盤振る舞いするなど、相変わらず気前はよかった白鵬だが、やはり不安は残る。猛暑もそろそろ落ち着いてきた。前人未到の幕内通算1000勝にあと14勝、平成最強の大横綱の復活を信じている。