フィフスペトルの勝因は何といっても、大型ルーキー・三浦の冷静な手綱さばきだ。
3角でのポジションは後ろから数えて2番目の13番手。並の新人なら心理的なあせりから先団に進出したくなるところだが、4角でも泰然としたまま11番手を“静かに”進んだ。そして、相手を絞っていたのだろうか。ナムラミーティアの手が動くと、迷わず愛馬を外に出し、メンバー最速の上がり(3F36秒4)で楽々と差し切った。
「最終週は外差し」。鉄則通りのシンプルな戦略といってしまえばそれまでだが、初戦は2番手からの抜け出しだったフィフスを思い切って下げるとは…。これも、「切れる感じていた」というベテラン顔負けの馬を見抜く力があったからこそできた芸当だ。いずれにしても、3月にデビューしたばかりの騎手とはとても思えない落ち着き払った騎乗ぶり。彼が何十年に一人の逸材といわれるゆえんが、このレースに凝縮されていた。
「落ち着いてロスのない競馬ができた。函館最後の週で結果を出せたのはうれしい。期待を背負っているのは感じているので、押しつぶされないようにしたい」
鞍上の存在ばかりが注目されるが、フィフスペトルも無敗で重賞を制覇。次走は未定だが、このフレッシュコンビからは、しばらく目を離せなくなった。