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“森口騒動”の余波か 発表に二の足を踏む研究員が増加!?

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)臨床応用に、世界で初めて成功したと大ウソをついた森口尚史氏(48)。その強烈なキャラクターが、思わぬ波紋を呼んでいる。

 熊本大学発生医学研究所の上野太郎研究員(31=神経科学)や粂和彦准教授(50=同)らの研究チームが、ショウジョウバエの脳の仕組みを解明。この研究結果を10月14日、英科学雑誌『ネイチャー・ニューロサイエンス・電子版』に発表し、大きく報道された。
 ここまでは実にめでたいことなのだが、一連の報道に少々困惑気味なのが当事者である上野研究員だ。まず、かいつまんで研究成果を解説してもらおう。
 「新たな発見は、ハエの睡眠をつかさどっている神経回路と記憶を行う神経回路が違うという点です。簡単に言うと睡眠と記憶を別々に制御できる可能性が出てきたのです」
 睡眠や記憶にはドーパミンという神経伝達物質が重要な役割を果たしている。この物質の特性から、眠りながら学習(記憶)することは難しいと考えられてきた。ところが上野研究員らは睡眠・覚醒の回路と学習などの回路は別々に働くことを突き止めたのである。

 それが“森口事件”とどう関係があるのか。
 「世間が『著名科学雑誌に掲載』とか『○○研・研究者』というキーワードに胡散臭さを感じているこのタイミングですから、プレスリリースしないという選択肢もあったのです。リリースはしたのですが、結果、この研究が『睡眠学習が実現する』という方向に拡大解釈されないかという懸念があります。しかしその一方で、専門的な内容を語るだけでなく、わかりやすい『睡眠学習の可能性』という夢も語りたい。が、そうすると世間は、森口氏の一件と重ねて私たちの研究を見やしないか。この葛藤が今もあるのです」(上野氏)

 “森口事件”がまじめな研究者に与えた影響は、心理面も含め計り知れないくらい大きいようだ。

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