24日の党3役改め4役人事で、党運営の要となる幹事長に大方の予想を裏切る伊吹文明文科相(69)を起用した“福田流サプライズ”は、党内に「訳がわからない」(津島派幹部)などの波紋を広げた。
一部では、伊吹氏の野心のなさが起用理由とみられているが、組閣ではこうしたサプライズすら期待できない。最大の関心事は、総裁選で予想以上に善戦した麻生氏の入閣だったが、25日朝までに入閣見送りの線が濃厚になってきた。
福田新首相が麻生氏に入閣を打診するのはほぼ確実とみられていた。総裁選のライバルは国民的人気が高く、勝負がついているのに冷遇すれば福田氏のイメージが悪くなる。ここはある程度重要ポストを用意し、閣内に囲って口を封じたほうが何かとやりやすいからだ。
問題は、どのようなポストで、麻生氏がこれを受けるかどうか、だった。
麻生氏はキャラ的に固辞するのは似合わないとされている。しかし、今回ばかりはやや事情が異なる。麻生新首相で決まりかけていたのを“反麻生連合”にひっくり返されたわけだから、あっさり笑顔で引き受けては安っぽくみられる。
といって固辞すれば、「挙党一致」に背を向け悪役路線を突っ走ることになるから麻生氏には悩ましいところだ。
問題山積状態で緊急登板した福田氏が、参院で与野党逆転したねじれ国会をうまく乗り切るのは難しい。内閣支持率だってそう簡単には上がらないだろう。解散・総選挙が近いとみて“次”を見据えて存在感を示したほうが得との見方もできる。麻生氏入閣見送りの裏側にはこうした計算が働いた可能性がある。
ほかの閣僚人事は、安倍改造内閣が発足して1カ月しか経過しておらず、国会開会中であることを考慮し、一部閣僚の入れ替えにとどめる方針。内閣の要となる官房長官には町村信孝外相(62)の横滑りで調整しているほか、額賀福士郎財務相(63)、舛添要一厚労相(58)、泉信也国家公安委員長(70)、公明党の冬柴鉄三国土交通相(71)は残留の方向だ。高村正彦防衛相(65)は再任か外相に横滑りするとの見方が強まっている。
総裁選で麻生氏を応援した鳩山邦夫法相(59)、甘利明経済産業相(58)や、政治資金問題が発覚した鴨下一郎環境相(58)、上川陽子少子化担当相(54)らの処遇が焦点になっている。