そんな暗雲たれ込める6月13日、都内で巨人の株主総会と取締役会が開催された。関係者によれば、俎上に上がったのは、3年ぶりのV奪還をお題目にFA選手3人を含む総額30億円もの巨費を投じた大補強の失敗。親会社の読売新聞グループ本社代表取締役である渡辺恒雄主筆もひどく立腹しており、チーム編成でトップを務める堤辰佳GMをはじめ、担当取締役の責任追及は避けられない。
「グループ内で、堤GMの解任を求める声が日増しに強まっていたのは事実です。監督を切れないのなら、編成部門のトップが責任を取るのは当然だと。しかし、堤GMは慶大野球部の出身で、高橋監督とは先輩・後輩の間柄。後ろ盾といってもいい関係で、高橋監督は堤GMをクビにするなら自分も辞める、と言い出した。そのため、『シーズンオフまで現体制で臨むしかない』というが、どうなるか…」(スポーツ紙デスク)
そこで浮上しているのが、川相昌弘三軍監督を一軍に昇格させて、ヘッドコーチに抜擢する案だ。
川相氏は'04年、巨人から中日に移籍し、落合博満氏の下で「オレ流」野球を吸収。'11年に指導者として巨人に戻った経緯がある。そのキャリアが今こそ生きるという期待で、やはり巨人OBの広岡達朗氏がバックアップしているという。
背景にあるのが、次期監督が約束されている松井秀喜氏の去就だ。球団ワースト記録の更新に加えて、FA選手と外国人選手頼みのチーム体制に難色を示しているという。一方で、生え抜きの好素材を数多く抱えながら育てきれず、今季も他球団に放出し、魅力的な若手不在の現状に「とてもじゃないが、受けられない」と固辞しているというのだ。
「川相氏の一軍昇格は、オフの高橋監督解任を見据えた調整が狙いだが、暫定監督の可能性もある。どうにもならないチームを2年で立て直し、松井氏にバトンを渡すのが使命。巨人が三軍制を敷いたのも、川相氏に次期主力を育成してもらうのが狙いだった」(巨人OBの野球解説者)
巨人のGMは、代々ユニホーム組ではなく、読売新聞社出身の幹部社員が務めてきた。しかし、今回の失敗で、球界出身の実力者へのスイッチが確実視されている。そこで白刃の矢が立っているのが、川相氏の師匠に当たる落合氏。チーム編成同様、コストカットの手腕はピカイチだ。
落合氏はれっきとした巨人OBであることに加え、渡辺主筆の覚えもめでたい。以前は「監督としての手腕は原監督以上」と高く評価されていた。中日にも逆転されて5位に転落した巨人、“劇薬”が必要だ。