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〈企業・経済深層レポート〉 アルゼンチン産牛肉の輸入解禁で火が付いた食肉業界の南米産牛肉ブーム

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提供:週刊実話

 6月25日、長年、日本国内ではお目にかかれなかった南米・アルゼンチン産の牛肉が輸入解禁となった。

 「アルゼンチンは世界第6位の牛肉生産国で、1人あたりの年間消費量も約59㎏と、世界有数の牛肉大国。ところが、日本では2006年にアルゼンチンに口蹄疫が発生したことから、輸入禁止措置が取られていました。しかし、その安全性が確認されたとして、昨年、アルゼンチン南部のパタゴニア地方に限って生鮮牛肉の輸入が解禁されたのです」(牛肉関連企業関係者)

 アルゼンチン牛肉の特徴はアメリカ産、オーストラリア産、ニュージーランド産など、日本で多く消費されている海外産牛肉と比べて、どう違うのか。

 「アメリカ産の牛肉は、穀物を中心とした高エネルギーなエサで飼育するため、臭みはなく、柔らかい肉質が特徴です。一方、オーストラリア産、ニュージーランド産は、牧草で飼育されグラスフェッドビーフ(牧草飼育牛肉)と呼ばれていて、家畜の運動量が多く、エサも牧草のため、肉質は硬い赤身が多い。アルゼンチン産牛肉もグラスフェッドビーフで、脂身の少ない赤身の肉が特徴です」(同)

 近年、このグラスフェッドビーフは量を食べても胃もたれすることもなく、海外では男性の間で大人気だという。米国・ニューヨークのエリートサラリーマンの間でも赤身肉はブームで、ランチにステーキを食べるというビジネスマンが増えているという。

 「1㎏食べても胃もたれもなく、しかもパワーがつく。しかも、アルゼンチン産牛肉の価格はアメリカ産よりも2割ほど安いというメリットもあります。輸入量が増えれば、日本のサラリーマンたちの間で、牛肉を昼からガッツリ食べる人が増えそうです」(フードアナリスト)

 大手スーパーのイトーヨーカドーは、6月25日〜30日という期間限定で、全国約120店舗でアルゼンチン産牛肉の販売を開始した。

 「イトーヨーカドーは、今回の売れ行き、さらに定期的に開催予定のフェアでの売れ行きを見ながら、通常販売に切り替えていくかどうかを判断するみたいです」(食肉業界関係者)

 アルゼンチン産牛肉と同様に、今年2月に19年ぶりに解禁された南米・ウルグアイ産牛肉も注目されている。ウルグアイ産牛肉はアルゼンチン産牛肉と同じく、2000年に口蹄疫で輸入停止となり、今年の2月に解禁されたばかりだ。

 「ウルグアイは、国土の8割が牧畜地帯の牛肉国。ウルグアイ産牛肉はアルゼンチン産牛肉と同様で、さっぱりした赤身肉のグラスフェッドビーフです」(同)

 現在、ウルグアイ産牛肉の輸入量は5トン。豪州の9万5000トン、アメリカの8万トンなどと比較すると、それこそ米一俵と米一粒ほどの大差があり、まだまだスーパーではお目にかかる機会は少ない。

 「ウルグアイ産牛肉は基本的に自然の中で育てるので、ホルモン剤とか一切打っていないため、安全性もあります。シニア層や女性は、健康志向で脂身を避ける傾向もあり、今後ウルグアイ産牛肉が伸びる可能性は大いにある」(農水省関係者)

 ただ、国内では南米産牛肉の輸入解禁が、「アメリカ産、豪州産、和牛販売にも影響がでるのでは」といった懸念の声も出ている。

 また、今後の日米貿易交渉が本格化する中で、トランプ大統領は日本に米農産物輸入拡大を強いる可能性が高く、アメリカ産牛肉の輸入は、急増が予測される。

 「それでもヘルシーで美味しいアルゼンチン産、ウルグアイ産の牛肉が日本の消費者に支持されれば、南米産牛肉はスーパーで一番広い売り場面積を占める可能性は高いです。海外では、今や多くの著名人が立ち寄るステーキ店で、アルゼンチン産牛肉を扱う店が増えています」(同)

 大阪でのG20サミットで来日したアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領が、大阪・八尾市のイトーヨーカドーを訪れ、トップセールスで牛肉やアルゼンチン産農産物のPRをしたことでも弾みをつけた。

 また、南米産の牛肉とともに、パタゴニア地方で約1500万頭飼養されている羊にも熱視線が送られている。

 「今回の日本の輸入解禁には羊も含まれていて、輸出が解禁されたパタゴニア地方の羊は、化学物質とは無縁の自然放牧の優れた環境で飼育されたオーガニック羊。日本では、特に環境問題には敏感な消費者が多いだけにパタゴニア地方の羊肉は、アルゼンチン牛肉同様、日本の主婦層には大いに支持されるでしょう。最終的には価格がどの辺で落ち着くかです」(商社関係者)

 南米産牛肉ブームだけでなく、パタゴニア地方の羊肉ブームも来るか?

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