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野村克也ID野球で再構築される楽天次期監督の名前

 東北楽天ゴールデンイーグルスが「ノムラ回帰」に向かって、舵を切った。

 梨田昌孝監督(64)の辞意表明を受け、その後任指揮を任されたのは、楽天1期生の平石洋介ヘッド兼打撃コーチ(38)だった。
 「楽天の球界参入が決まった'04年秋、最初のドラフトで指名された選手です。大学、社会人を経由してプロ入りした外野手でした。去年まで2季続けて二軍監督を務め、選手育成には定評があります。他球団の二軍首脳陣も、一目置いています」(在京球団スタッフ)
 二軍監督をしていた時、ヤクルト・高津臣吾、日本ハム・田中幸雄両二軍監督(当時)と試合前に育成論などで積極的に意見交換したことがあった。その際、理路整然とした話の内容に、たまたま通り掛かった他球団スタッフも「へぇ〜」と、唸ってしまったという。

 また、中日で復活した松坂大輔(37)の好敵手でもあった。
 「'98年夏の甲子園で、松坂の横浜高校とPL学園が延長17回を戦った試合は、今でも伝説の試合とされています。その一戦を名勝負に変えたのが、当時、PLの3年生だった平石です。平石は三塁コーチャーボックスに立ち、松坂と捕手の小山良男のバッテリーのクセを見抜き、序盤戦の主導権をPL側に引き寄せました。選手でありながら、一流コーチの視点も当時から持っていました」(スポーツライター・飯山満氏)

 楽天二軍監督を経て、今季からヘッドコーチへ…。そんな昇格を聞くと、「楽天1期生の平石」がこのまま監督に正式任命されそうだが、そうはならない。平石代行の監督昇格は、時期尚早なのだ。
 まだ20年に満たない球団の生え抜きを登用するほど、チームは成熟していない。そこで急浮上してきたのが“ノムラ回帰論”だ。
 「野村克也氏が監督だった頃のデータ解析法は、まだ使われています。楽天はフロント主導のチームですが、現場の意見がゼロでは成り立ちません。現場とフロントが適度な緊張感を持って、意見交換できる人材が『次の監督』に求められています」(前出・関係者)

 野村氏が監督を退任したのは'09年。約10年が経過しようとしているが、それでも色褪せないノムラ式のデータ解析法とは、対戦投手(バッテリー)の配球チャート表だ。
 ヤクルトスワローズの監督に就任する前、テレビ解説者として、ストライクゾーンを9分割し、直球、変化球を記していく「ノムラスコープ」が人気を博した。それをもっと細かく記したもので、これは監督・野村が携わったヤクルト、阪神でも健在だという。
 「現在はトラックマンなるマシンを用いて、ピッチャーの投球を数値化できる時代になりました。でも、解析マシンがどんなに進化しても、スポーツは人間がやるものです。そこに感情が入ります。データがすべてでもない」(ベテラン記者)
 現在は、ノムラ式チャート表と、トラックマンの併用が理想的だという。

 そもそも楽天は、このトラックマンを12球団で最初に導入したことで知られている。ここからフロント主導のチーム化に拍車が掛かったわけだが、現場の「ナマの声」を届け、うまく折衷させていたのが、故・星野仙一副会長だった。
 「星野氏が亡くなり、今季の梨田監督は、若手の一軍昇格さえフロントに意見できなかったと聞いています」(同)

 フロントもこのままでいいとは思っていない。だが、フロントは「データ」でしか野球を語れない。フロントと融和できる指揮官が必要となる。そこで浮上したのが、野村氏の息子である野村克則氏(44)だ。
 現在はヤクルトの一軍バッテリーコーチだが、ヤクルトは宮本慎也ヘッド、高津二軍監督が控えている。野村コーチの引き抜きは、さほど難しい話ではない。
 「克則コーチは温厚な性格で、楽天のコーチ時代は父のサポート役を見事にこなしていました。野村氏の話が難しすぎる時の“通訳”ですよね。高度な作戦を説明するとき、克則コーチが柔らかい言葉で説明し直していました」(前出・関係者)

 父・野村氏と楽天は奇妙な関係にあった。イーグルスの名誉監督でありながら、3年の任期付き。チーム功労者だったが、段々と遠ざける方法で、それを提案したのは故・星野氏だったとも言われている。その星野氏はもういない。だとすれば、ノムラ回帰に何の抵抗もないはずだ。
 「星野さんが健在ならともかく、人事の権限は三木谷浩史オーナーにあります。三木谷オーナーは勝ちたいと思っているので、ビッグネームにはこだわらないはず。東北出身の中畑清さんが有力だとする報道もありましたが、DeNAで一定の満足をしているとの情報もあります。古巣の巨人も高橋由伸監督がアヤシイので慎重になるでしょう。知性派なら、ノムラIDにも精通する古田敦也氏もいますが…」(前出・ベテラン記者)

 楽天は監督に高年俸を出したがらない傾向がある。
 「克則氏は監督志望が強く、楽天への愛着もあります。金銭的な条件は問題ないはずです」(同)

 球団は平石代行に「残り試合を50勝30敗で」と注文した。正規昇格を考えているなら、そんな無茶は言わないはず。ますます克則コーチという現実的な選択がされそうだ。

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