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アルジェリア人質事件で日本企業が直面した「資源は欲しい」が「アルカイダは怖し」の切迫事情

 アルジェリアの天然ガス田施設で発生した外国人人質事件は、1月17日(日本時間18日)に政府軍が施設を空爆。AFP通信によると、施設に常勤していた日本企業『日揮』の駐在員9名が武装勢力に殺害された(21日現在)ようだが、この事件が日本経済に与えた衝撃は凄まじいものだった。

 というのも、経済界では「今後も邦人が人質に取られるケースが続発する」との見方が、渦巻きだしているからだ。経済アナリストがこう語る。
 「実はアルジェリアは日本企業の進出がハンパではないのです。同国は天然ガスが世界シェア5位。『日揮』はこれらプラントの設計、建設を行っていたのです。また、『三井物産』『伊藤忠』『NEC』『双日』などが、天然ガスの精製、携帯電話、車販売などで進出。同国に建設予定の1200キロに及ぶ高速道路のうち、400キロを『鹿島』『大成』が受注している状態なのです」
 実際、アルジェリアへの国際的な投資額は年々急増。'11年度は対前年比14%増の2300億円と加速度的に増えているのである。

 もっとも、注目されているのは同国ばかりではない。今ではアフリカ全土で熾烈な資源と消費の奪い合いが起きているのだ。
 「石油ではリビア、ナイジェリア、南スーダン、コンゴ、アンゴラ。金やダイヤなら南アフリカやタンザニアで、マンガンなら内戦の続くマリ、ウランはニジェールやナミビアと、そのどれもが莫大な埋蔵量を誇っているのです。このため最近では、中国や欧米企業も多数進出。熾烈な採掘競争を展開する一方、消費大国となりそうな国々の利権掌握に血眼で、日本も手を引けない状態なのです」(同)

 要は経済的に撤退が難しいため、今後も危険に晒される可能性が高いのである。
 「事件を起こした『AQMI』をはじめ、アフリカ全土にはアルカイダの流れをくむ組織が多数跋扈している。そのため、金を持つ日本企業の社員らは、今後も標的にされる可能性が高いのです」(外信部記者)

 「テロは怖いが、資源は欲しい」。それが、さらなる惨劇を招かねばいいのだが。

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