「例えば1キロ平方メートルにいる人間を殺傷するためのBC兵器を作る場合、核兵器製造に比べて800分の1程度の費用に抑えられるため『貧者の核兵器』と言われているのです。その割には殺傷能力が高く、240ミリ砲100台に15トンの神経ガスを搭載して発射した場合、その60%がターゲットに到達するだけで、最高で46万人の死者が出ます」(軍事ジャーナリスト)
米ランド研究所は「北は戦時にはVXを1万2000トンまで生産する能力を持ち、奇襲攻撃においては、核より先にBC兵器を使って戦争のイニシアチブを握るはず」と第2次朝鮮戦争の戦端を分析するほどだ。
米トランプ政権はBC兵器を絶対に放置しないとみられ、まずVXの製造工場をピンポイント空爆する可能性があると、先の軍事ジャーナリストが指摘する。
「北朝鮮のミサイル発射に激怒しているトランプには、これまでの瀬戸際外交は通用しません。米国が北朝鮮をテロ支援国家に再指定して海上封鎖を含む全面制裁に踏み切れば、金正恩政権は持たないでしょう。一方で米国は、外貨不足に悩む正恩が金満なテロ組織にBC兵器を売却することを恐れています。トランプは正恩に化学兵器禁止条約の締約を迫り、拒否したら国連査察団の受け入れを要求し、そこで徹底抗戦の構えを見せたら特殊部隊を送り込んで正恩を殺害する“斬首作戦”を実施するでしょう」
折しも米韓両軍は3月1日から、昨年に匹敵する史上最大規模の米韓合同軍事演習『フォールイーグル』を開始した。イージス艦や原潜も参加していることから、長距離巡航ミサイルで金正恩委員長の首を狙うオプションも加えた格好だ。
「恐怖に耐え切れなくなった正恩が破れかぶれになる可能性があります。実際、米軍の偵察衛星が北の核施設の周辺で頻繁に車両が出入りする様子を捉えています。すでに、暴発の兆候が出始めていると言っていい」(同)
そんな懸念の中、北朝鮮は3月6日、弾道ミサイルを日本海に4発発射。そのうちの3発は日本の排他的経済水域に落下するという事態が起きた。
「恐るべき暴挙です。しかし、正恩といえども『フォールイーグル』への直接の挑発は即時戦争になるくらいのことは理解している。だからこそ少しポイントを外した。来月には朝鮮人民軍創建85周年大規模軍事パレードを準備しており、そこでもBC兵器などを公開して、日米韓を恐怖に陥れようとするハラでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)
核と生物化学兵器を持ち、肉親を殺戮する独裁者をこのままにしてはならない。