A:腰痛は2本足直立で生活する人間の宿命ともいえ、避けられない面もあります。重力に抗して立っているわけですから、力学的に腰に負担がかかります。
ですから、慢性的に腰痛がある場合、出ないようにうまくコントロールすることが求められ、それが大事なのです。
●よい姿勢を保つ
腰痛が出ないようにするポイントは、よい姿勢を保つこと。そのよい姿勢とは、整形外科の教科書的に言えは、顎を引き、胸を張り、背筋を伸ばした状態です。背骨は軽くS字のカーブを描いています。
しかし、骨格には個人差があるし、筋肉の付き方も違います。整形外科的に言われるよい姿勢は、誰にでも当てはまるとは限りません。
また、よい姿勢とは、疲れづらい姿勢であるということができます。立っていて、あるいは椅子に座っていて、すぐに腰が痛くなるなら、それは悪い姿勢でしょう。すぐに背中が疲れるのも悪い姿勢です。
ご質問の方は、まずはご自分の姿勢を見直しましょう。座業ですから、背中を丸め、お腹を突き出したような姿勢で座ってはいないでしょうか。
背筋を伸ばし、お腹を引っ込める姿勢に変えてみてください。
そうすればきっと、背中は疲れにくくなりますし、腰痛も出にくいはずです。
●インナーマッスルを鍛える
最初のうちは、よい姿勢を保つのはつらいかもしれません。
でも、慣れてくるうちに、背中や腰が楽になことを自覚するでしょう。
そうなったら、しめたもの。よい姿勢が身についてきたということです。
もう一つの方法は運動です。体の筋肉は、表層の浅い部分の筋肉(表層筋)と、深部の筋肉(深層筋)とに大別できます。
2つの筋肉のうち、姿勢を保持するのにより重要な働きをしているのが深層筋、つまりインナーマッスルです。
インナーマッスルを鍛えると、体幹がしっかりしてくるので、よい姿勢が保てるし、腰痛にもなりにくいのです。インナーマッスルは、静的な運動によって鍛えられます。
たとえば、片足で立ってみたり、腰をゆっくり、深く落とす運動などがよいでしょう。試してみて下さい。
石井文久氏(湯島清水坂クリニック医師)
自律神経免疫療法を実践する整形外科医。東京慈恵会医科大学卒業後、15年以上、整形外科医として診療。自然治癒力を重視し、それを引き出す治療と指導に定評がある。