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世界的に広がるパイロット不足…空の旅は難題山積

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提供:週刊実話

 航空業界がパイロットの酒気帯び乗務を巡る問題で大きく揺れている。日本航空(JAL)では、去る10月28日、ロンドン発羽田行き便の副操縦士が酒気帯びの状態で乗務に就こうとした疑いで現地の警察に逮捕され、禁錮10カ月の実刑判決を受けた。

 全日本空輸(ANA)でも子会社の機長が同25日、前夜の大量飲酒による体調不良で乗務できなくなり5便を遅延させているし、スカイマークでも11月14日の羽田発新千歳行きにおいて、乗務前の検査で機長から規定値を超えるアルコールが検出され遅延を起こした。

 航空業界は、格安航空会社(LCC)の急伸や外国人観光客の急増で極度のパイロット不足に陥っている。過度のストレスが飲酒につながっているのなら、問題は単純にアルコール検出の方法などで解決できなくなる。

 国土交通省は不足解消策として、自衛隊の元パイロットは、実機訓練を省略して民間航空会社に再就職しやすくなるような制度に改革することを決めた。

 「現在6389人(2017年1月現在)いる民間航空会社のパイロットのうち防衛省退職者は5.4%、最近の採用は年8人程度にとどまっています。民間機の操縦資格を得るには、飛行経験にかかわらず、実機による12回以上の飛行訓練を経なければ操縦試験を受けられず、大型民間機を使った実機訓練の費用は高額で機会も限られるため、再就職のハードルとなっていました。そこで国交省は、自衛隊の哨戒機や輸送機で12回以上の離着陸経験がある場合、機長と副操縦士の2人で操縦するタイプの民間航空機については、実機訓練を免除することにしたのです」(航空ジャーナリスト)

 14年にはピーチ・アビエーションとバニラ・エアで機長が足りずに多くの便が欠航。昨年11月と今年2月にはエア・ドゥで人繰りがつかなくなり50便超が運休しているが、パイロット不足は世界的な傾向で「獲得戦争」が激化、世界は”空中戦”に突入している。

 「深刻化する航空機パイロット不足が、航空業界の最近の好成長を脅かしているほどです。稼動していない旅客機が増え、賃金高騰が企業収益を蝕み、世界中の労働組合がさらなる手当てを要求しているためです。航空会社の多くは、海外から採用せざるを得なくなっており、そこに需要旺盛な中国との間で、奪い合いが起きているのです。経験豊富な外国人機長の需要が高い中国では、航空各社が最高年俸31万4000ドルを免税で提示しているので、パイロットは皆中国に流出していくのです」(同)

 このためエアバスやボーイングなどの航空機大手は、訓練などのサービスに事業を広げようとしている。航空機建造よりも利益が大きくなるという試算があるからだ。

 パイロットはいるが、搭乗する旅客機がないという時代が来なければいいが。

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