「昨年は1月早々、日銀のマイナス金利導入決定という“黒田バズーカ”の号砲から始まったが、市場の反応は鈍く、日経平均株価も停滞したまま推移。3月に米国が追加利上げを見送ったことで市場は横這いが続いた。6月のイギリスEU離脱の際は一時的にリーマンショック以来の暴落傾向を見せたが、思いの外大きな動きとはならず、11月のトランプ氏勝利後も、長期的に大幅な変動は見えなかった。昨年の株式市場は、さまざまなカウンターパンチを受けつつも、何とか乗り切ったという感じ」(市場関係者)
引き続き為替と海外の政治動向は気になるところだが、各景気指標を疑ってかかることも必要だ。最近の景気指標は経済の真の実態を表していない状況になりつつあると言われている。
「景気の現況と数値がかい離している指標として代表的なのが、企業倒産件数。帝国データバンクなどによると'16年の倒産件数は2年連続で9000件を下回り、低水準を記録するとみられています。これは、'13年3月で終了したモラトリアム法の実質的な効果延長措置によるところが大きく、倒産件数は実態を示していません。特に、オリンピックを控えて建設業は公共工事が増加傾向で好調と思われがちですが、実際は小規模事業者を中心に人手不足から外注費等がかさみ、好調な大手ゼネコンと比べて中小零細の建設業は非常に厳しい。今年は昨年以上と予想されます」(経済ライター)
企業が金融機関に貸し付け条件の変更等を申し込む件数について、モラトリアム法終了時と比べ2割程度しか減少していないというデータもある。つまり、この数年間で経営改善、再建が果たされた企業はほとんどないといえるのだ。
どうやら“飛躍の丁酉”とはいきそうもない。