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ROOKIES(ルーキーズ) その7

 家庭内では厳格な父親に頭の上がらない光浩だったが、一歩外に出れば江戸川区内では無敵の中学生。まさに外弁慶である。

 その勢いは中学生相手だけにとどまらなかった。ある日、調子づいていた光浩たちのグループは、小岩の駅前で一帯を仕切る地回りと小競り合いを起こした。
 いくら中学生相手に無敵の光浩でも、プロのケンカ屋を相手にしてはなす術もない。まるで紙くずのように蹴散らされてしまった。
 散々やられて家に帰った光浩を見て、父親は言った。「ケンカを売られて負けて帰って来るヤツがあるか。勝つまで帰ってくるな!」
 数日後、光浩は地回り相手にリベンジを図った。やられた小岩の駅前で待ち伏せ、ケンカを仕掛けたのである。この勝負、光浩自身も結構なダメージを負ったものの、相手を叩きのめして「スイマセン…」の言葉を手にした光浩たちの完勝に終わった。それ以来、地回りたちは光浩に会うと頭を下げるようになったという。
 敵がいなくなった光浩の行動はエスカレートする一方だった。学校の窓ガラスを次々に叩き割るわ、学校に火を付けるわと、やりたい放題。そんな光浩を警察が見逃しておくはずはなかった。
 ある雨の夜のこと。光浩は仲間たちとバイクを盗み出し、大きな騒音を上げながら学校の校庭を走り回っていた。そこに警察が来た。
 それもパトロール中のお巡りさんが立ち寄ったというレベルではない。いきなり3、4台のパトカーが姿を現し、校庭の入口を封鎖したのである。続いて交通機動隊がバラバラと校庭に突入し、光浩たちは全員逮捕された。
 近所の住人が警察に通報したこともあるのだろうが、それ以前から光浩たちが警察に目を付けられていたのは間違いない。そうでなければ、これほど大規模な部隊が素早く出動できるわけはない。
 逮捕された光浩は小岩署で取り調べを受けた後、練馬の東京少年鑑別所…通称“練鑑”に送られることになった。

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