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西武HD年内再上場で見え隠れする 堤一族キナ臭い人間模様(1)

 西武鉄道、プリンスホテルなどを傘下に抱える西武ホールディングス(HD)が株式の再上場を計画している。市場筋は「早ければ10月。遅くとも12月ではないか」とエールを送る。
 前身の西武鉄道は有価証券報告書の虚偽記載で、2004年12月に上場廃止となった。実現となれば、8年ぶりの“表舞台”復活となる。
 同社は既にみずほ証券、野村證券、JPモルガン、UBS、メリルリンチの5社を主幹事証券に内定するなど再上場の準備に入った。6月22日に予定している株主総会では定款を一部変更し、9月30日付で株券廃止会社となる議案を提案する。上場会社は『株式等振替制度』により株券を廃止する取り扱いになっているためだ。こうした動きに大手証券マンは「JALと西武のダブル再上場で市場はにわかに活気付く」と、早くも期待を膨らませている。

 確かに一時は「再上場のメドが立たず、みずほコーポレート銀行から送り込まれた後藤高志社長の首が飛ぶのは時間の問題」とまでささやかれた業績も、今では着実に利益を生むまでに回復している。今年3月期は震災の影響もあって連結売上高は前期比207億円減の4383億円だったが、これはほかにもいえること。そんな逆風下でも純利益は11億円増の84億円だった。
 とはいえ、再上場に向けた用意周到な準備の裏には、狐とタヌキの化かし合いを地で行くドロドロの思惑が渦巻く。まずは発行済み株式の約3分の1を保有する米投資ファンド『サーベラス』の動向である。
 投資ファンドの性格上、いつまでも安定株主であり続けるわけにはいかない。運用を委託した投資家に報いるためにも、投資マネー約1600億円相応の儲けを付けて回収する必要がある。その場合、手っ取り早いのが株式再上場によるマネー調達、すなわち出口作戦である。

 '05年5月に銀行から片道切符で送り込まれた後藤社長(当時は西武鉄道社長)は「2、3年で再上場できる」と豪語していた。翌'06年2月にグループ再編で西武HD社長を兼務し、一昨年の6月には鉄道の社長から会長となったが、その裏には「壮絶なドラマがあったようだ」と、西武ウオッチャーは打ち明ける。
 「サーベラスが後藤社長の力量に疑問を抱いていたフシはあります。といってHDと西武鉄道の社長を同時に解けば『何があったのか』と大騒ぎになる。そこで鉄道の社長を生え抜きに譲って目付け役の会長になった。奇しくもあの人事の直前、西武は東京・赤坂のグランドプリンスホテル赤坂(通称・赤プリ)を取り壊して再開発すると発表しましたが、これだって『後藤社長が再開発にサーベラスを絡ませることで手打ちしたのではないか』と騒々しかった」

 真偽は不明である。しかし、もはや銀行へ戻れない後藤社長と、断トツの大株主として投資マネーの回収を急ぎたいサーベラスとの微妙な力関係が、図らずも透けてくる。

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