9月18日、前澤氏は、宇宙開発を手掛けるアメリカのベンチャー企業「スペースX」との契約締結を発表。同社が開発している大型ロケット最初の搭乗者として、1972年のアメリカ・アポロ計画以来となる月を周回すると発表したのだ。
この民間初となる「月旅行」は5年後の2023年にも実施される予定で、1週間をかけて地球と月を周回飛行。前澤氏は画家や音楽家など6〜8人の世界的なアーティストを招待すると公表し、総費用1000億円超のうち手付金もすでに支払ったという。
「前澤氏が世間を驚かせたのは、これだけではありません。続けて、米ゴルフ界への進出を発表しました。つまり、スタートトゥデイが運営費10億円を支払って大会の冠スポンサーとなり、来年10月に千葉県内のゴルフ場で米男子プロゴルフツアーを開催するというのです。これが実現すれば、あのタイガー・ウッズや松山英樹も、もれなく出場します。ゴルフファンの多い球界首脳や千葉県民の喜びようは、尋常ではありません」(スポーツ紙デスク)
このように、昨今、ド派手なパフォーマンスを連発する前澤氏。目的は、「剛力彩芽を射止めるため?」と思われがちだが、そんな単純な構図ではない。
「スタートトゥデイ社は今年10月1日から、社名を『ZOZO』に変更します。それに先駆け、今年1月からオーダーメイドに近い採寸型スーツなどを世界72の国と地域においてZOZOブランドで売り出し始めており、2020年度には『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングに匹敵する売上高2000億円規模へと成長させる計画が進行しています。すべては、その工程の一環なのです」(経済誌記者)
しかし、同社はまだ日本国内でも知名度が盤石とは言えず、まして海外での浸透はゼロに近い。それが、プロ野球参入のネックにもなっていた。そこで前澤氏は、「月旅行」という巨大なアドバルーンに目を付けたのだ。
今回、契約した「スペースX」のイーロン・マスクCEOは、電気自動車大手「テスラ」のCEOでもある。そのマスク氏と米カリフォルニア州の「スペースX」本社で共同記者会見したことで、前澤氏の認知度は全世界で高まった。
また、この相乗効果で、前澤氏は'16年に、ブルックリン出身の画家・バスキアの作品を約62億円で落札したことも報じられた。実はこの絵を狙っていたのが、ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオ。この絵が縁で両者の交友は深まり、米アート界にも人脈を広げているという。
さらに一部には、前澤氏が日本のプロ野球球団買収を断念し、メジャーの球団買収を目指すのではないか、という情報もある。これは、ディカプリオがロサンゼルス出身であることから、2人がタッグを組めば、大谷翔平がプレーするロサンゼルス・エンゼルスの経営参加、球団買収も夢ではないというものだ。
「それも選択肢にはあるかもしれませんが、前澤氏は千葉県出身で、本社も千葉。建設中の100億円豪邸も千葉県内にあり、'16年には千葉マリンスタジアムの命名権を10年31億円で落札しています。これらを考え合わせれば、球団の買収は千葉ロッテ以外には考えられないというのが、球界の一致した見方です」(前出・スポーツ紙デスク)
プロ野球球団を所有するには、野球規約により、参加したい年の前年11月30日までにオーナー会議の承認を得なければならない、と定められている。さらに球団買収にかかる費用とは別に、NPBに納める預かり保証金25億円、野球振興協力金4億円、加入手数料1億円の計30億円が必要となる。'12年に横浜ベイスターズを買収したDeNAの球団取得総額は約95億円だったとされる。
「スタートトゥデイ社株の約37%を保有する前澤氏の個人資産は約5600億円。ポケットマネーで払える額です。問題は他球団のオーナーが求めている“企業の品格”の方だが、時間がない。前澤氏は堀江貴文氏同様に海千山千の“ベンチャー企業の風雲児”とみなされており、テスラ社のCEOと宇宙ビジネスのタッグを組み、ディカプリオを応援団長に仕立てることで、払拭を図ったのです。前澤氏は王貞治ソフトバンク球団会長の後輩にあたる早稲田実業高OBでもあり、応援の輪は広がっている。孫正義氏も側面から支援しているそうです」(同)
西武、広島のリーグ優勝で球界の話題は早くも裏で開催されるストーブリーグ。前澤氏による「千葉ロッテ買収」のマジックが点灯している…。