A:冷え症は女性に多いことはよく知られていますが、男性にもあります。
男性の冷え症には、多くは職業柄、体を冷やしがちな人によく見られます。いわば環境による冷えですが、他にも血行不良によるもの、寒湿の停滞によるもの、胃腸障害を伴うもの、全身の虚弱を伴うものなど、さまざまなタイプがあります。
外界の環境から始まったものが、全身症状に移る場合もあります。血液の循環障害や胃腸障害を伴うタイプがこれに相当します。
●漢方薬の服用と生活改善を
漢方薬には冷え症に効くものがいろいろあります。外界の気温に影響されている場合は、「当帰四逆呉茱萸生姜湯」があります。冷え症にもっともよく使われる代表的な漢方薬で、特に手足など体の末端の冷えの改善に効果的です。
この漢方薬は健康保険適用のエキス剤があります。病院で処方してもらえるし、薬局で購入することもできます。一定期間、この漢方薬を継続して服用してみると良いでしょう。
また、ご質問の方は胃腸の冷えが影響しているようです。胃腸が虚弱かどうかはわかりませんが、胃腸虚弱タイプの冷え性に適した漢方薬に「人参湯」があります。ただし、胃腸の冷えに関しては、薬を服用するよりも先にまず、そのような生活を改めることが求められます。
冬に冷たい飲み物を好んで多く飲むと、体を冷やす寒い環境にあって、冷えをもたらす要因が重なります。できれば、焼酎のお湯割りや日本酒の熱燗を飲むようにしたいものです。また食事は、温野菜、生姜、ネギ、ニラ、アンズ、紅花油などが、体を温める食品なので、日常的に摂るよう心がけましょう。
このほか、要因として、運動不足が疑われます。もし不足しているなら、夕食前に歩くと良いでしょう。はや歩きがお勧めです。そして入浴して体を温めてから、よく眠る。以上のように生活改善するだけで、冷え性はかなり改善するでしょう。
三浦於菟氏(吉祥寺東方医院院長)
熱心な東洋医学の名医として著名。東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。東邦大学医学部東洋医学科教授を経て、同大学客員教授。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。