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まるで社会主義国! 消費税還元セール禁止法 価格統制で踏み絵を迫られる 小売店(スーパー家電量販店)の狼狽(1)

 政府の早すぎた決断が波紋を広げている。
 現在5%の消費税率は来年4月に8%、再来年10月には10%に引き上げられる予定になっているが、増税の是非は景気動向を踏まえて今年の秋に決定するはずである。それにもかかわらず政府は3月22日、企業が増税分を円滑に価格に転嫁できるようにする特別措置法案を閣議決定し、国会に提出した。一言でいえば「消費税還元セール」をうたい文句にした宣伝を禁止する法案で、今年10月の施行を目指している。

 セールを規制しなければ大手スーパーなどが仕入先の中小企業に対し、還元分の負担を押し付けかねない。だから立場の弱い中小企業を保護するとアピールするのだが、繰り返せば、まだ消費増税が完全決定したわけではない。政府=財務省の魂胆は何なのか。
 「中小企業の味方を装って一刻も早く増税のレールを敷きたいということ。むろん、還元セールを制限すれば物価やGDP(国内総生産)は上がるから、アベノミクスにも一役買う。財務省も消費税の価格転嫁がスムーズに運ぶから税収アップに直結すると期待している。ただ法案作成を急いだことから抜け穴も目立ち、これをどうクリアするかを巡って、スーパーなどの小売と財務省の攻防戦が熾烈になるのは間違いありません」(市場関係者)

 その最たるものが、消費税還元セールと通常のセールに明確な線引きがないことだ。従って家電量販店やスーパーが「8%値引き」など明らかに消費税を連想させるキャッチを掲げない限り、ペナルティーの対象にはなりにくい。それどころか、政府が明確な区別に踏み込んだ場合には「営業の自由を侵害して憲法違反になりかねない」との指摘もあるのだ。
 「政府の閣議決定直後、そんな声が法曹界で飛び交った。これに小躍りしたのがスーパー各社です。抜け駆け的な還元セールを行っても堂々と開き直れる、と踏んでのことです。この法案には違反した場合の罰則規定が盛り込まれておらず、現状では社名が公表される程度。こんな実態が明らかになった以上、既に政府を丸め込んで外堀を埋めた財務省は、シャカリキになって抜け穴封じに知恵を絞るでしょう」(経済記者)

 今後の国会審議が注目されるゆえんだが、現状では“ザル法”にしか見えない還元セール禁止にも、実は政府=財務省の本気度が透けている。詳細の“詰め”を残しているとはいえ、この法案は公正取引委員会に対し、仕入れに際しての買い叩きの実態調査と是正勧告の権限が付与されている旨を記しているのだ。

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