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松戸女子大生放火殺人事件3つのナゾ

 千葉大園芸学部の荻野友花里さん(21)が千葉県松戸市の自宅マンションで何者かに殺害され、現場が放火された事件は発生1カ月を経てなお犯人特定に至っていない。兵庫から上京してひとり暮らしを満喫していた女子大生を襲った鬼畜はいまもどこかで息を潜めている。荻野さんの足取りを実地検証するとともに、事件に絡む3つのナゾを追った。

 荻野さん宅マンションから火の手が上がったのは10月22日午後8時15分ごろ。焼け跡から荻野さんの遺体が発見され、胸や首に数カ所の刺し傷があった。司法解剖の結果、煙を吸い込んだ形跡はなく、死因は胸を刺されたことによる出血性ショック死と断定された。千葉県警松戸署捜査本部は80人態勢で捜査を進めているが、犯人のシッポはつかめていない。

 第1のナゾは「2つの犯行動機」だ。マットレスの上に裸で横たわる遺体には布団がかけられていた。死亡推定時刻は放火前日の21日午前の可能性が高いという。なぜ殺したのか。そして何よりなぜ火を放ったのか。
 遺体の身元はすぐに確認されている。同一犯ならば、殺害翌日にあえて現場に戻って放火した理由が分からない。強盗目的や通り魔的犯行はもちろん、怨恨などであっても遺体が発見されていればその場で逮捕の可能性もあった。
 「むしろ現場から少しでも遠くに逃げたいと考えるのが通常の犯罪者心理だ。現場に証拠を残していることに気付き、それを隠滅・回収するために戻ったケースなどが考えられる。犯人が何らかの理由で警察に指紋を取られていた場合などは、部屋じゅう拭いて回るのは困難だから放火するしかない」(事件取材するジャーナリスト)
 荻野さんとなんらかのかかわりがあった人間の犯行か、否か。上野のキャバクラでアルバイトをしていたことなどから交遊関係は広いが、現時点では両方の可能性を捨てきれない。

 第2のナゾは「ATMの男の正体」だ。殺害当日の10月21日午後、JR松戸駅近くのATMで荻野さんのキャッシュカードを使って男が現金を引き出している。捜査本部は防犯カメラに映った男の画像を公開。男は駅周辺にある3カ所のATMを回りながら、結局2万円しか手にしていない。
 ATMに防犯カメラが設置してあることはもはや常識だ。殺害犯かどうかは別にしても、他人のキャッシュカードで金を引き出す行為じたいに問題がある。いずれ画像が公開されるであろうことは容易に想像がつく。
 あまりにリスクが大きいことから、振り込め詐欺などで使われる“出し子”説が浮上。いまだに名乗り出ないことからみて善意の第三者である可能性はほとんどなくなった。ただ、だれにいつどこでどうやって依頼されたのか。依頼→受諾の時間も場所も限られる。

 第3のナゾは「荻野さんの足取り」だ。殺害される前日、荻野さんは西千葉の友人宅に泊まっている。この友人によると、朝起きたときには荻野さんはすでにいなかったという。就寝前「あす(10月21日)は大学に行く」と話していた。
 捜査当局のその後の調べで、10月21日午前9時ごろ、JR西千葉駅の防犯カメラに荻野さんが映っていたことが判明。同9時半ごろにはJR市川駅の防犯カメラが荻野さんをとらえていた。問題は、市川駅からの足取りが分からないこと。ICカードには、大学の最寄り駅であるJR新京成松戸駅で下車した記録はいずれも残っていなかった。前出のジャーナリストが説明する。
 「JR西千葉駅から松戸駅に向かうとき考えられるルートは3つ。JR津田沼駅で新京成に乗り換えて約40分のコースが最も使いやすい。ただ、高齢者らは津田沼駅から徒歩3分の新京成新津田沼駅まで外を歩かされるのを嫌がる。船橋駅や西船橋駅乗り換えのルートもあるが、計3本を乗り継ぐのが面倒。それに比べて市川駅下車は、渋滞などでバスの時間が読みにくいことを除けば乗り換えは津田沼ルートと同様に1回だけ。地元住民しか思いつかない“裏技ルート”といえる」
 バスに乗ったと仮定しよう。千葉大園芸学部に行くためには市川駅から「松戸駅行き」「松戸車庫行き」いずれかの京成バスに乗る。両路線とも、市川駅から京成線国府台駅、北総線矢切駅、JR松戸駅を結ぶ約40分のルート。運転手によると、「和洋国府台女子高や国府台高校へ通う学生さんには重要な足だし、電車より便利なときもあるから朝9時台は相当混み合うよ」という。
 殺害当日は水曜日で平日のため、満員バス状態だった可能性が高い。市川バスルートでは、終点松戸駅より手前に大学と自宅に近いバス停留所がそれぞれある。松戸駅から大学までは約20分歩かなければならないが、バス停「松戸二中」からは10分程度で済む。荻野さんは、満員バスを我慢してもとにかく歩くのがイヤだったのか。
 しかし、結局この日は荻野さんは授業には出なかった。何らかの理由で自宅に戻るために「松戸二中」より2つ先の「小山」停留所で降りた可能性が高い。このバス停から自宅までは徒歩約5分。自宅から大学までは徒歩2、3分の距離だから、ちょっとした理由があっても家には帰りやすい。
 荻野さんはなぜ自宅に戻ったのか? だれかと一緒だったのか? 電車やバスでだれかと遭遇したのか? 当日の目撃証言はなく、ナゾは深まるばかりだ。ただ自宅到着後わずか1〜2時間の間にこれほどむごい殺され方をする理由は見当たらない。取材時、荻野さんの自宅マンション前を通った老夫婦が、白いマンションの壁にいまなお残る黒い焼け跡を見上げて静かに手を合わせていた。一刻も早い犯人検挙が待たれる。

◎他駅の利用は不可能
 荻野さんが駅の防犯カメラに映っていた時間帯と列車運行時刻などから考察すると、朝9時半ごろに市川駅に到着した可能性が強く推察される。バスターミナルは駅前なので、9時39分の「松戸車庫行き」に十分間に合う時刻だ。ただ、満員バスで30分立ちっぱなしはキツい。始発なので座るために一本遅らせて9時44分の「松戸車庫行き」に乗ったケースも考えられる。
 死亡推定時刻からみて途中バス停の国府台駅、矢切駅などで下車する余裕はなかった。

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