「次々に出てくる森友問題の疑惑が、どれも判然としない。しかも、100万円寄付の話まで飛び出したことで、野党が要求していた籠池氏の証人喚問を自民党も受け入れざるを得なくなった」
とは自民党中堅幹部。
そんな周囲の不安をよそに安倍首相から「やましいことは何もない。偽証罪を問われる証人喚問でいい」と強気の発言が出たため、最終的に3月23日の証人喚問になったという。
しかし、「100万円に関して安倍首相、昭恵夫人がもし“シロ”だったとしても、疑惑の奥は深い」とは全国紙政治部記者。
「現職閣僚が籠池氏側から口利き依頼され、数百万円受領した話もありますからね。そもそも、最初の森友学園への国有地払い下げで8億円も安くなった理由は何なのか、さらに、小学校の建設費で、なぜ森友学園から国と大阪府に異なる金額の工事請負書が提出されていたのか。これらの解明ができなければ、安倍政権は追い詰められることになる」(同)
その兆候は顕著で、3月上旬に行われたNHKをはじめ報道各社が行った内閣支持率は、2月から3〜7ポイントダウン。50%を切る勢いで、永田町界隈からは「今後ドロ沼化すれば、坂道を転げ落ちるように30%台になる」との声も上がり始めている。
それに乗じて、安倍政権と自民党を揺さぶる動きに出ているのが、小池氏だという。
小池氏周辺関係者が言う。
「小池さんは、自分の都知事選、2月の千代田区長選と、自民党からことごとく嫌がらせを受けた上に、対立候補を立てられ、怨みがたまりまくっている。1月に安倍首相と会談はしたものの、東京五輪での支援もはぐらかされた。そこで、都議会自民党と一枚岩の自民党本部、そして安倍政権を叩く機会を狙っていたようです」
そこへ森友学園問題が起き、願ってもないチャンスが到来したのだ。
「そのため小池氏は、一気に安倍自民潰しに動き出している。最大の助っ人は公明党で、3月13日、夏の都議選で小池新党の都民ファーストの会と候補者の相互推薦し合って戦うと会見した。これは自民党にとってまさに青天の霹靂ですよ。自民党はそれまで、両者が協力するという話はあっても、水面下で手を握る程度だと思っていた。それが公然と自民候補潰しに出てきたのだから、安倍首相も二階俊博幹事長も、苦虫を噛み潰しているのではないか」(自民党関係者)
小池新党の躍進が必至と見られる都議選以降、衆院選にも進出する可能性は大。そのため一時は、小池新党の準備不足を突く都議選と衆院選のダブル選挙情報も飛び交ったが、自民党内の意見はさらに急変しているという。
「森友問題により安倍政権が揺さぶられ、傷口が広がれば、支持率はさらに下がり、都議選までもたなくなる。そこで、3月28日までに'17年度予算が成立した後、3月末解散、4月に総選挙などという話まで浮上している。そこまで安倍自民が焦るのは、公明党が都議会のみならず、国政レベルでも自民党と距離を置き始めているという観測が出ているからです」(同)
実際、公明党の支持母体である創価学会では、安倍政権が押し進め公明党が了承した安保法や共謀罪に対し、批判的な声が多い。今後の憲法改正の動きへ向け、公明党内にも「これ以上、安倍政権の強硬な姿勢に擦り寄っていれば、学会・公明党が分裂しかねない」との危機感が募っているという。
「そんな折、小池氏がアンチ自民で猛烈なアプローチを公明党に仕掛け、公明党内にも、小池氏と組んだ方が支援者も含め上手くまとまるという考え方が強くなった。森友問題は、その背中を押すいい機会になりつつある」(創価学会ウオッチャー)
公明党に加え、次期総裁を狙う小池シンパの石破茂元自民党幹事長も、安倍潰しに動き出す気配だ。
「石破氏は今後、森友問題がこじれれば正面から安倍退陣の声を上げる覚悟を決めたようで、籠池氏の証人喚問での発言を注視しています」(水月会関係者)
“反安倍”に大きく舵を切るのは、日本維新の会代表、松井一郎大阪府知事もしかりだという。
「松井氏は橋下徹前大阪市長と協議の上で、森友学園の建設費疑惑について、偽計業務妨害容疑で刑事告訴する方針を固めたと聞く。徹底した捜査が行われ、口利き疑惑の現職閣僚が出た場合、安倍政権は崩壊する。維新ではすでに見切り時を探っているが、それも小池氏と周囲の動向を窺いながらだ」(大阪府政関係者)
安倍首相退陣への潮流は、小池氏の動きにかかっているようだ。