中でも「市バス」は、観光客が団体から個人に変わってきている関係で、昨年後半あたりから利用者が急増しているという。
そこで、実態を探るべく京都へ行ってみた。
京都市バス「東山 岡崎公園前」の停車場。ここは平安神宮にも近く、河原町・祇園方面に向かう市内観光のメインルートにある。
バス停には、平日にもかかわらず多くの人が行列を作っているが、その中から聞こえてくるのは、ほとんどが外国語だ。待つこと数分でバスは来たものの、観光客で車内はすでに満員。バスは、行列の半分以上を積み残したまま発車した。
本誌記者は、なんとか乗車できたが、とにかく混雑している。これでは、せっかくの京都観光も台なしだ。
「バスが混むのは土日か連休ぐらいのものでしたけど、今では平日でも1本乗りすごす覚悟でいかないと乗れない。通勤通学、病院に行くのも大変です。こんなことは、今までになかったことですよ」(哲学の道の近くに住む主婦)
こうした市バスのトラブルは数年前から問題になっており、京都市交通局では、ターミナルでの案内係を増やしたり、乗客の分散を狙って地下鉄との共通利用パスを値下げしたりといった対策を講じている。
しかし、外国人観光客は「外が見えない」という理由で地下鉄を敬遠するのだという。
「バスの大型化や増便も検討していますが、それをやると渋滞が悪化し、さらに市民生活が混乱します。外国人観光客のマナーに対する注意喚起をしようとすると、『それは差別だ』と言う人もいますからね。一筋縄ではいかない問題になっているんです」(京都市役所OB)
すぐに春の観光シーズンがやってくる。地元の一般市民たちは、今から憂鬱な表情を浮かべている。