「そのためか、今では米国の学者筋にも北朝鮮と中国がタッグを組んで、日本を攻撃するシナリオを指摘する者がいるほど。この可能性は現時点では低いと言わざるを得ないが、中国や北朝鮮と日本が個々に戦火を交える危険性は日増しに高まっている。これが現実となれば、日米同盟の枠外となることから、自衛隊内にも国防軍の早急な創設を望む声が高まっているのです」(防衛省関係者)
もっとも、気になるのはこうした有事が具体化した場合、日本の自衛隊はどこまで応戦できるのかという点だろう。そのカギを握るのが、中国軍の戦力なのである。前出の軍事アナリストがこう話す。
「一般的に両国の戦闘力は、『量の中国、質の日本』と呼ばれ、開戦した場合、日本が勝つというのが定説だった。ところが近年、中国軍は毎年自衛隊予算の倍にあたる8兆7000億円もの国防費を使い、その戦力を強大化させ始めた。今や、質でも日本に迫る進化を遂げているのです」
その最たるものが、海軍力なのだ。中国軍は現在26万人もの海軍兵を保有。1088隻の艦艇と72隻の潜水艦を擁しており、うち10隻が原子力潜水艦なのだ。
対する自衛隊は、イージス艦を含め143隻の艦艇を保有。潜水艦も16隻を擁しているが、原潜は持っておらず、ここ最近は中国海軍の目を見張る進化ぶりに押され気味なのである。
「たとえば中国は、長らく“張子の虎”と嘲笑され続けてきた念願の空母『遼寧』を昨年就役させ、艦載機の発艦、着艦をも成功させた。訓練次第で今後の実践配備が早まるのは確実なのです。さらに、金にモノを言わせる中国は自前でイージス艦の開発も行っており、もはやその性能は、一部では日本を凌駕するともいわれているのです」(同)
また、海上自衛隊関係者はこう語る。
「中国の潜水艦は運航ノイズの大きさが欠点だったが、ここにきてその静粛性が高まっている。ただ、潜水艦を補足する自衛隊の哨戒機能力は世界一で、この部分では日本がいまだに圧勝することは間違いないのです」
要は、ここにきて中国海軍の性能が飛躍的に上がってきてはいるものの、日本の海軍力がわずかに勝っているのが現状なのである。