A:口内炎は、口の中の粘膜にできた炎症性病変の総称です。
口腔の粘膜が赤くなって食べたものが沁みる程度のものから、粘膜がただれたり潰瘍ができたり、粘膜が盛り上がって出血しやすくなったり、水ぶくれができたりもします。
原因や程度によって症状はさまざまですが、多くの場合、痛みを伴います。症状によって、アフタ性口内炎、カタル性口内炎、ウイルス性口内炎などに分けられます。
●唾液の不足が影響
多いのはアフタ性口内炎で、食事中に頬の内側を噛んで傷つけ、そこが悪化して口内炎になるケースです。口腔粘膜は修復力が優れているので、普通ならば自然に治るものです。ところが傷がだんだんと広がって行き、やがて潰瘍に進んで穴が開いたような傷口ができます。なぜ、潰瘍にまで発展するのでしょうか。
その理由は、唾液にあります。口腔粘膜に傷ができると、口腔内の細菌がその傷に攻撃を仕掛けますが、その攻撃から守ってくれるのが唾液です。唾液が炎症の拡大を防ぎます。
ところが、疲労やストレスが溜まったり、不眠が続いたり、あるいはホルモンのバランスが崩れたりすると、唾液の分泌量が減り、口内炎ができやすくなります。
疲れたり体調が悪いと口内炎になりやすいといわれるのは、以上のメカニズムによります。
ですから、ご質問の方の場合も、過労やストレスが口内炎の発症に関係していることは確かでしょう。口内炎ができたら、それを過労やストレスのサインと受け止め、対策を講じるとよいでしょう。
普段、睡眠時間が不足しているなら、何はさておき十分な睡眠時間をなんとか確保したいもの。
唾液の分泌を促すのに有効な方法に、口腔周囲筋トレーニングがあります。いろいろなやり方がありますが、最も簡単なのは、「あー」とか、「いー」「うー」などと、しっかりと発音する方法です。口をとがらせたり、つぐんだり、さらには舌もいろいろな形に動かします。
このように動かすことによって、唇を閉じる力が強くなります。口を常に閉じているようになると、それだけで唾液の分泌が促進されます。また、よく噛むことも唾液の分泌を促進するし、ガムを噛むのもオススメです。
山田晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、そのゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。