コトの発端は、8月27日に造形大が発表した「開学30周年を記念しての名称変更」だ。同大は、創立以来の“藝術立国”の理念に基づき、来年4月1日から校名を『京都芸術大学』に変更するというのだ。
だが、京都にはすでに市立芸大があり、「京都で『芸大』と言えば、誰もが市立芸大のことを思い浮かべる」(京都市職員)というほどの知名度を誇っている。
同市の門川大作市長はHPに〈驚愕しています〉と綴り、〈大学が新たに名称を変更される場合は、既存の大学と混同しないよう、明確に識別できるようにすべきであります〉と、再考を促すコメントを発表した。
市立芸大の卒業生や教職員も「京都で『芸大』を名乗っていいのは、明治以来の歴史がある市立だけ」と猛反発。ついには造形大に対して『京都芸術大学』の名称の使用差し止めを求める訴訟を大阪地裁に起こしたのである。
これに対し造形大はHPで、市立芸大から「名称変更の中止再考」の要請があり、話し合いを申し入れていたにもかかわらず、〈突如、訴訟提起のリリースをされたことに大変驚いております〉とコメント。〈本学としては、今回の名称変更について法的にも一切問題はないと考えております〉と徹底抗戦をにおわせた。
地元の記者が言う。
「両大学の違いをあえて言えば、古典の市立芸大、現代芸術の造形大という感じですかね。造形大側には、少子化による“学生減少に備える対策”の意味合いもあるようです」
とはいえ、今回の名称変更には、造形大内部でも反対の声があり、署名運動まで起こっているというから話はややこしい。
いずれにせよ、芸術の秋にふさわしくないドロ沼の展開になりそうだ。